研究課題/領域番号 |
22K19686
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中村 裕之 金沢大学, 医学系, 教授 (30231476)
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研究分担者 |
原 丈介 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任准教授 (30710199)
大倉 徳幸 金沢大学, 附属病院, 助教 (80397215)
早川 和一 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 連携研究員 (40115267)
原 章規 金沢大学, 医学系, 准教授 (70507045)
神林 康弘 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (20345630)
辻口 博聖 金沢大学, 医学系, 特任助教 (00723090)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 多環芳香族炭化水素 / アトピー咳嗽 / 疫学 / 大気汚染 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
持続する咳嗽を主訴とするアトピー咳嗽は、近年、急速に増加している。その基本病態は病理学的には中枢から末梢気道全体の好酸球性気道炎症であり、生理学的には気道過敏性亢進と気管支平滑筋トーヌス亢進であるが、その抜本的な原因はほとんど不明である。本研究では、新しい大気汚染物質として呼吸器疾患の原因の候補物質である多環芳香族炭化水素(PAH)とそのニトロ体(NPAH)の曝露とアトピー咳嗽の関係を明らかにするために、40歳以上の志賀町住民1,497人(平均年齢は65.9±12.4歳で、847人(56.6%)が女性)を対象とした疫学を実施した。全体で91人(6.1%)がアトピー性咳嗽、咳喘息、あるいは気管支喘息の慢性咳嗽(8週間以上の持続する咳)を呈する患者と診断された。疾患のある女性の年間平均曝露レベルは、疾患のない女性よりも高かった。女性とは対照的に、疾患のある男性とない男性では、年間曝露レベルに有意差はなかった。年間平均曝露レベルには、性別と喘息の状態との間に有意な交互作用がみられた。これらの結果は、性別による曝露レベルと喘息との関係を示している。年齢、BMIを調整した多変量モデルにおいて、オッズ比[OR]、2.06;95%CI、1.45-2.92で女性では疾患と曝露に有意に関連していたが、男性では関連していなかった。アトピー咳嗽の病態をさらに解明するために、曝露と疾患の量反応関係などの疫学を次年度以降、実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アトピー性咳嗽、咳喘息あるいは気管支喘息患者91人をリクルートし、対照群を入れた集団1497人において症状をモニタリングし、個々のPAHごとに咳症状のリスクを推定できたことから、「おおむね順調に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
アトピー咳嗽の病態をさらに解明するために、多環芳香族炭化水素(PAH)とそのニトロ体(NPAH)の曝露とアトピー性咳嗽、咳喘息あるいは気管支喘息患者の症状との量反応関係などの疫学を次年度以降、実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析のシミュレーションとして、学生謝金を予定していたが、今年度は大規模分析の方法が難しかったため、研究代表者自身で行ったため、その分、金額を繰り越した。またその分は、来年度の小規模分析のための学生への謝金として使用する予定である。
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