研究課題/領域番号 |
22K19690
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
栗田 宜明 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 特任教授 (80736976)
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研究分担者 |
脇田 貴文 関西大学, 社会学部, 教授 (60456861)
次橋 幸男 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (80793984)
川口 崇 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (60548486)
矢嶋 宣幸 昭和大学, 医学部, 教授 (70384360)
柴垣 有吾 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (70361491)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 医療の断絶 / 処方エラー / 医療の質・安全 / 情報漏えい / 予約システム / プライバシー / 医師への信頼 / big 5 性格特性 |
研究実績の概要 |
研究1. チーム医療トラスト(複数主治医制)の要素を抽出するための基礎調査:「医療機関・チーム医療トラスト(複数主治医制・多職種の関与)」を測る尺度の開発のために、前段階として、チーム医療の要素をなす「主治医の代診」が、主治医の信頼度に及ぼす影響を検討することにした。スタンフォード大学のThom教授と共同研究を行った。その結果、国内の慢性疾患において、代診の回数の増加に伴う通常の医療の断絶が、主治医の信頼度の低下につながる可能性が明らかとなった。現在この論文を投稿している。 研究2. チーム医療トラスト(多職種の関与)の要素を抽出するための基礎調査: 前段階として、チーム医療の要素をなす「処方の誤り」等が、医師への信頼に及ぼす影響を検討することにした。ミシガン大学のAshwin准教授と共同研究を開始し、米国において外来予約や守秘義務の遵守、薬剤の処方のエラーに関するシステム要因や個人要因を調査した。処方の誤りだけでなく、エレベーター内や完全な仕切りがない診察現場でプライバシーが漏えいしやすいことや、医療補助スタッフの予約取り忘れがチーム医療中の信頼低下の原因となる可能性が浮かび上がった。そこで、国内の慢性疾患を対象に、処方の誤り、外来予約のエラー、プライバシーの漏えいが主治医の信頼度や医師全般への信頼度に与える影響を詳細に解析し、論文化を進めている。 研究3. 「医療機関・チーム医療トラスト(複数主治医制・多職種の関与)」を測る尺度の文献調査:医療機関に対する信頼度を測定する尺度などをさらに同定し、本研究課題のための項目を作成するための基礎資料とした。 研究4. チーム医療トラストの要素に医師の性格が重要であると想定し、事前検討のための研究として主治医のビッグファイブ性格特性の違いが医師に対するトラストに与える影響を国際誌に発表した。その結果、ウェブメディアや新聞紙で紹介された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の慢性疾患を対象に、医療機関やチーム医療に対するトラストを損ねる要因を探るための横断研究を行った結果、国際共同研究による論文化ができた。また、医療機関やチーム医療に対するトラストの文献調査も継続して進めている。従って、概ね計画通りと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、次のことを明らかにする:①慢性疾患を対象とした調査研究から、チーム医療の不十分なパフォーマンスは、そのチームだけに対してでなく、他の医療に対するトラストを損ねるか。②人を中心に据えた医療を考慮することによって、そのチームだけに対してだけでなく、他の医療に対するトラストを改善させ、患者のアウトカムを変えるか ③チーム医療トラスト(複数主治医制)の要素を抽出するための基礎調査を完了させて尺度の項目を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
集合会議や患者調査が、新型コロナウイルス感染症の防疫のために次年度に見送りとなったことに加えて、患者調査の実施前の事前の準備研究の実行と論文化に時間を要したため。その結果、先行文献のさらなる詳細な検討を次年度に必要としたため。
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