研究課題/領域番号 |
22K19722
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研究機関 | 豊橋創造大学 |
研究代表者 |
後藤 勝正 (山下勝正) 豊橋創造大学, 保健医療学部, 教授 (70239961)
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研究分担者 |
江川 達郎 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (00722331)
小林 憲太 生理学研究所, 行動・代謝分子解析センター, 准教授 (70315662)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | proprioceptive sense / muscle spindle / Golgi tendon organ / plasticity / skeletal muscle |
研究実績の概要 |
超高齢社会にある我が国において、身体諸機能の退行性変化を抑制して、健康寿命を延伸することが求められている。健康寿命の延伸には適度な運動が有効であることから、運動刺激の重要性が再認識されている。運動には運動器である骨格筋機能、そのなかでも筋力の維持が必須である。骨格筋は筋紡錘および腱器官の2つの固有受容器を持ち、それぞれ筋長および張力センサーとして機能している。筋固有受容器からの感覚情報は、筋緊張制御など骨格筋収縮のリアルタイム調節に利用されると考えられているが、長期的な骨格筋機能の適応制御における役割は不明である。そこで本研究では、選択的に神経回路を遮断することができる革新的新技術である「逆行性遺伝子導入ベクターを利用した二重ベクターシステム」を骨格筋可塑性研究に初めて導入して、骨格筋活動に伴う筋固有受容器に由来する感覚情報が骨格筋可塑性制御における未知の生理機能を明らかにすることを目的として、3か年計画で実施する。今年度はその2年目にあたり、昨年度に引き続いて筋収縮に伴い発生する筋紡錘あるいは腱器官由来の求心性の感覚情報を選択的に遮断したモデルマウスの確立を目指して実験を行った。実験動物(C57BL/6J雄性マウス)を用いて、脊髄後根神経節細胞へ試験薬物注入に関するマイクロマニピュレーションター技術の精度を向上させることができた。骨格筋組織に逆行性ウイルスベクターを注入し、脊髄後根神経節細胞における色素確認の精度向上を目指したものの、現時点では不十分な状態である。この2つの基礎技術は、逆行性ならびに順行性ウイルスベクターを利用した二重ベクターシステムによる骨格筋由来感覚神経の選択的遮断に必須な技術であり、この精度の向上は、実験モデル作成において重要な位置を占める。一方、物理的な切除技術は実験レベルに到達できたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
選択的に神経回路を遮断することができる革新的新技術である「逆行性遺伝子導入ベクターを利用した二重ベクターシステム」を用いて骨格筋可塑性を追究する本研究にとって、実験技術の精度向上は重要な意味を持つことは言うまでもない。実験モデル確立に向けた精度向上が急務であり、早急に対策を講じていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究最終年度に当たり、骨格筋可塑性モデルに対して「逆行性遺伝子導入ベクターを利用した二重ベクターシステム」を導入して、筋活動に伴う筋固有受容器感覚による骨格筋可塑性制御機構を解明し、骨格筋機能の維持・向上における運動刺激の新たな意義を提示すべく研究を推進する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬など消耗品の価格が値上がり、2023年度中に購入予定の試薬が購入できずに余剰金が発生した。この余剰金に関しては、次年度にに購入を予定している試薬などを調整することで使用する予定である。、
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