CD9は、がんの細胞膜や細胞が分泌する細胞外小胞エクソソームにおいても高度に発現しており、細胞運動性、細胞膜の曲率制御や膜融合、エクソソームの分泌制御にも関与することが示唆されている。CD9の制御分子であるEWI-2を模倣したペプチドによる細胞機能の制御は、特定の受容体やリガンドなどをピンポイントにターゲティングする分子標的薬とは異なり、テトラスパニンを起点とする膜タンパク質の会合により形成されるシグナル伝達反応場の構築を阻害することで、複合的に細胞機能を調節することを特徴とする。これより、新たながん細胞の制御機構を示すことができ、学術的にも社会的にも意義深い成果が得られた。
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