本研究の目的は、デンマーク人言語学者ルイ・イェルムスレウの言語論に照らして、20世紀後半のフランス思想を体系的に研究することであった。本研究では最終的に、イェルムスレウ言語論の「媒入」概念を試金石にすることで、バルト、デリダ、ドゥルーズとガタリの思想的特徴が測れることを示した。媒入は、何を言語と認めるのかという、学問的な境界確定にかかわる概念であるが、この概念のうちに、伝統的な言語学的前提を認めて限界点を指摘するのか、それとも非言語学な外への開かれを認めるかが、フランス思想の分水嶺であったということを明らかにした。
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