本研究では、現代社会において、「真正性」(authenticity)がジャーナリズムを含むメディア実践全般を正当化する重要な要素の一つであることを示し、それがどのようにジャーナリズムにおける「声なき声」の活性化という規範と関連するのかを明らかにした。いわゆる職業記者などの専門職的な「送り手」と受動的なものとして想定されやすい「受け手」の区別を設けず、両者を対等で相互行為的な存在として理解した上で生じる「声なき声」の活性化の実践を「ジャーナリズム」として位置付け、再定義した場合に生じる葛藤や可能性を分析した。
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