研究課題
研究活動スタート支援
本研究では、スギの心材形成と連動して生産される抗菌物質ノルリグナン類の生合成に関わる遺伝子を同定するため、スギ木材の各部位(心材、移行材、辺材、葉、枝)に対し、粗酵素調製法の確立、スギ材に対するtotal RNA抽出法の確立を実施した。また、スギ材のRNA-seq解析では、一般に死んだ組織とされている心材部においても、わずかながら発現遺伝子のデータを得ることに成功した。また、スギカルスの液体培養細胞も調製することに成功しており、今後のスギカルスのRNA-seq解析に供する状況が整った。
木質科学
本研究で得たスギの心材、移行材、辺材部でのRNA-seqの成果は、スギ心材がどのように形成されるかという長年の謎を、分子生物学的観点から明らかにする第一歩の情報を提供するという点において学術的意義があり、本研究は将来的には心材成分のさらなる増強などにより高付加価値化されたスギ材が創出でき得るという社会的意義がある。