マウス大腸上皮細胞で確立したair-liquid interface (ALI) 培養法を応用し、患者由来ヒト大腸上皮細胞を用いたALI培養法を確立した。培地条件を検討することで、恒常状態のヒト大腸上皮細胞に類似した円柱上皮を再現可能な培養条件を見出した。ALI培養開始時の細胞は扁平状であり、潰瘍性大腸炎の炎症部でしばしば見られる扁平化上皮細胞を再現していると考えられた。扁平状の培養細胞の遺伝子発現パターンは、潰瘍性大腸炎の炎症大腸上皮や胎児期の腸粘膜の遺伝子発現パターンと類似していることを確認した。この培養系をさらに応用することで、炎症性腸疾患の病態解明や新規治療法開発への貢献が期待される。
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