研究課題/領域番号 |
22K20886
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北本 博規 京都大学, 医学研究科, 医員 (80967901)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
キーワード | 炎症性腸疾患 / 鉄 / マクロファージ / ヒノキチオール |
研究実績の概要 |
実験系の最初の段階として、in vitroでマウスのマクロファージ細胞株を用いてLPS刺激への反応をみる実験系でヒノキチオールの投与量を調整している状況である。しかし、通常培地での条件下ではなかなか対照群と比較して再現性のある有意な差が認められず、実験系の工夫を行っております。 生理的な条件下では細胞内鉄は最適濃度に維持されているため、ヒノキチオールを用いても鉄の移行がそれほど引き起こされないため、有意差が出ないと推測されます。 これに対して、慢性炎症下の条件を再現するために、ヒノキチオールを投与する前にヘプシジンを培地に加えてpre-treatmentして細胞内鉄を増やす工程を挟む必要があると考えており、現在ヘプシジンの濃度を振りながら細胞内鉄が一定量を超える条件を模索しており、この次にLPS刺激±ヒノキチオール投与で有意差がみられるかを検討する方針です。 マウスのマクロファージ細胞株でpre-treatmentなどの条件を確立できれば、ヒトの末梢血単核球を用いて同様の実験を行い、マウスだけでなくヒトにおいてもヒノキチオールが抗炎症作用を発揮することを確認する段階に進む予定である。 その後、IBDモデルマウスを用いたin vivoの実験系、共同研究予定である神戸大学でのヒト腸内細菌叢モデルを用いた実験系においてもヒノキチオールの有用性を検証していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
通常条件下ではヒノキチオールを用いた抗炎症作用が認められず、事前に細胞内鉄が蓄積するような慢性炎症環境をpre-treatmentで再現する必要があると考えられる。 現在培地にヘプシジンを加えて細胞内鉄が蓄積する条件をヘプシジン濃度や培養期間など模索している状況であり、これが確立できればヒノキチオールの細胞内鉄減少に伴う抗炎症作用を確認する実験系に移行したいと考えております。
|
今後の研究の推進方策 |
まずはマウスのマクロファージ細胞株を用いてin vitroの条件において、ヒノキオールの鉄動態の変化を介した抗炎症作用を検証する。 ヒトの末梢血単核球を用いて同様の実験系を行い、ヒトにおいてもヒノキチオールが抗炎症作用を発揮することを検証する予定である。 次にIBDモデルマウスを用いたin vivoの実験系でヒノキチオールを投与する群において腸炎が軽減することを、鉄動態と腸内細菌叢の変化の観点から検討することを予定している。 以上の実験系においてヒノキチオールの有用性が確認出来れば、共同研究予定の神戸大学においてヒト腸内細菌叢モデルを用いてヒノキチオールの抗炎症作用と安全性について検証し、実臨床への応用の可能性について探っていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究自体が予定より進まず、実験系の試行錯誤を行っている状況であるため、頂いた予算を大幅に残す形となっている。 ただし、残額は次年度に持ち越して先の実験系に活用する予定である。
|