研究課題
HCKを用いてイオンチャネルにおけるPIP2の結合を光で操作できるかどうかを確認するため、PIP2結合にlysineが関わることが従来良く知られており、機能発現が安定しているマウス由来内向き整流性K+チャネルKir2.1分子を用いて解析した。マウスKir2.1のK188にはPIP2が結合することが知られており、クラゲ由来のKir2.1オルソログではこの部位がアスバラギンになっているためPIP2親和性が低く、チャネル活性が弱いことが知られている。マウスKir2.1のK188にアンバーサプレッサーコドン(TAGコドン)を導入し、Deiters博士らが確立したtRNA(UAG-HCK)およびアミノアシルtRNA合成酵素をコードするプラスミドをアフリカツメガエル卵母細胞の核に顕微注入し、翌日Kir2.1 (K188TAG)のmRNAとHCKを細胞質に顕微注入して、1日後または2日後に、2本微小電極による膜電位固定法による、内向き整流性K+電流の電気生理学的計測を行なった。405 nmのUV光を照射し、計時的に内向きK+電流量の計測を行い、uncagingによるPIP2結合の回復過程を解析した結果、UV照射による電流量の有意な増加が確認された。この電流増加の程度は、細胞毎にばらつくことと、UV照射量に依存して生じることも明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
計画通り、イオンチャネルへのHCKの組み込みと、uncagingによるPIP2結合の操作が可能であることが明らかになった。
当初の目的である、ligand gated ion channelに、この技術を適用していく。まずは、リガンド結合にlysineが関わる分子をモデルケースとして用いて、uncagingのコンディションを検討する予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Biophysical Journal
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