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2021 年度 実績報告書

微生物生態系と細胞内代謝系の一般理論と制御への力学系と経済学からのアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 21J22920
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

山岸 純平  東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2024-03-31
キーワード生態系 / 代謝系
研究実績の概要

2021年度は、リモートワーク(自宅での作業、オンラインでの議論や発表)を主として、2つのテーマについての研究活動を進めた。いずれにおいても、数値計算では主にC/C++、Python、Mathematicaなどを使用し、研究(II)では代謝系のデータベースなども参照した。
・研究(I)「微生物生態系の構造や安定性についての力学系理論および統計物理学の視点からの研究」
英語論文や日本語の依頼記事が出版され、国際学会でのオンライン口頭発表を行った。また、微生物生態系の定常状態における摂動応答の理論の構築にも取り組み、得られた結果を取りまとめて日本物理学会での口頭発表を行った。これは、「化学反応-細胞-生態系」という3階層のダイナミクスからなる力学系モデルに対して線形安定性解析(Jacobi行列の解析)や主成分分析などを数値的および解析的に適用することで、生態系における複数細胞種の共存や適応・進化の帰結としてその定常状態が有する構造や生態系全体の摂動応答と各細胞の摂動応答との関係を明らかにするための研究である。
・研究(II)「細胞内代謝系の制御について経済学および熱力学の視点から」
細胞の代謝制御をミクロ経済学の立場から捉える「代謝経済学」と名付けた新規な理論についての英語論文が出版された。また、その理論を一般化するとともに、解析計算から得られた「質的に異なる摂動応答について、任意の代謝反応ネットワークにおいて普遍的に成り立つ関係式」の有効性を大自由度の代謝反応ネットワーク(E. Coli Coreモデル)の数値計算を通して確かめた。得られた結果について日本物理学会などでの口頭発表を行い、英語論文の執筆を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

・研究(I)「微生物生態系の構造や安定性についての力学系理論および統計物理学の視点からの研究」
当初の計画通り、微生物生態系における代謝物のやりとりを介した共存について、英語論文や日本語の依頼記事が出版され、国際学会でのオンライン口頭発表を行えた。また、それらの結果を踏まえ、微生物生態系の定常状態における摂動応答の理論の構築にも取り組み、得られた結果を取りまとめて日本物理学会での口頭発表も行った。

・研究(II)「細胞内代謝系の制御について経済学および熱力学の視点から」
当初の計画よりは少しだけ遅くなってしまったが、Warburg効果とGiffen財の数理対応をもとに両者の原理と新たな予言を明らかにするという研究結果をまとめた英語論文が無事出版された。さらに、その一般化についても成果を得ることができ、その結果の発表および筆頭著者としての英語論文執筆を進めることができた。

今後の研究の推進方策

今後は、微生物生態系の構造や安定性について、力学系理論および統計物理学の視点からの研究を進めていく。より具体的には、「化学反応-細胞-生態系」という3階層のダイナミクスからなる力学系モデルに対して線形安定性解析(Jacobi行列の解析)や主成分分析などを数値的および解析的に適用することで、生態系における複数細胞種の共存や適応・進化の帰結としてその定常状態が有する構造や生態系全体の摂動応答と各細胞の摂動応答との関係を明らかにする。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Adaptation of metabolite leakiness leads to symbiotic chemical exchange and to a resilient microbial ecosystem2021

    • 著者名/発表者名
      Yamagishi Jumpei F.、Saito Nen、Kaneko Kunihiko
    • 雑誌名

      PLOS Computational Biology

      巻: 17 ページ: e1009143

    • DOI

      10.1371/journal.pcbi.1009143

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Microeconomics of Metabolism: The Warburg Effect as Giffen Behaviour2021

    • 著者名/発表者名
      Yamagishi Jumpei F.、Hatakeyama Tetsuhiro S.
    • 雑誌名

      Bulletin of Mathematical Biology

      巻: 83 ページ: 120

    • DOI

      10.1007/s11538-021-00952-x

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 代謝漏出による微生物の共存共栄戦略2021

    • 著者名/発表者名
      山岸 純平, 斉藤 稔, 金子 邦彦
    • 雑誌名

      生物物理

      巻: 61 ページ: 400~403

    • DOI

      10.2142/biophys.61.400

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] The advantage of leakage of essential metabolites and resultant symbiosis of diverse microbes2022

    • 著者名/発表者名
      Jumpei F. Yamagishi, Nen Saito, and Kunihiko Kaneko
    • 学会等名
      59th Annual Meeting of BSJ
  • [学会発表] 複合体形成を伴う触媒反応ネットワークにおける指数成長と休眠状態の転移2022

    • 著者名/発表者名
      山岸純平,金子邦彦
    • 学会等名
      日本物理学会第77回年次大会
  • [学会発表] Microbial Potlatch: The advantage of leakage of essential metabolites and resultant symbiosis of diverse species2021

    • 著者名/発表者名
      Jumpei F. Yamagishi, Nen Saito, and Kunihiko Kaneko
    • 学会等名
      IUPAB
    • 国際学会
  • [学会発表] 増殖細胞の代謝応答における一般法則2021

    • 著者名/発表者名
      山岸純平,畠山哲央
    • 学会等名
      日本物理学会2021年秋季大会
  • [学会発表] 細胞集団系における低次元摂動応答2021

    • 著者名/発表者名
      山岸純平,金子邦彦
    • 学会等名
      日本物理学会2021年秋季大会

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公開日: 2023-12-25  

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