研究課題/領域番号 |
22J20008
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
西島 光洋 東京工業大学, 工学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 数理最適化 / 一般化完全正値錐 / 一般化共正値錐 / 近似階層 / 対称錐 |
研究実績の概要 |
一般化完全正値計画問題およびその双対問題である一般化共正値計画問題を効率的に解くために、令和4年度はこれらの問題の制約に現れる一般化完全正値錐および一般化共正値錐の近似に着目し、具体的に以下の2つの研究成果を得た。 まず、対称錐上の一般化共正値錐に対する内側および外側からの近似階層を複数提案した。1つ目に、一般の対称錐上の一般化共正値錐に対して、2乗和制約で記述される内側近似階層を与えた。2つ目に、非負象限錐と1つの2次錐の直積集合上の一般化共正値錐に対して、2乗和でない半正定値制約で記述される内側および外側近似階層を与えた。これらの近似階層と既存の近似階層を組み合わせることで、一般化共正値計画問題の最適値をより正確かつ効率的に求められることを数値実験で示した。 次に、一般化完全正値錐を近似するために、通常の完全正値錐を緩和する際によく用いられる二重非負錐の一般化として、半正定値制約で記述される2種類の一般化二重非負錐を提案した。そして、先行研究で提案されているものを含めた計3種類の一般化二重非負錐による近似の精度を理論的および数値的に比較した。特に数値実験では、提案した一般化二重非負錐が既存の一般化二重非負錐よりも良い緩和を与えられることを示した。 以上2つの研究成果は現時点で査読付き国際雑誌に投稿中であるが、査読前論文としてインターネット上に公表し、さらに国内学会で3回および国際学会で2回発表した。そして、アウトリーチ活動として、自身の研究内容や博士後期課程での研究活動に関する高校生向けの講義も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和4年度は、当初の研究計画通り、対称錐上の一般化完全正値錐および一般化共正値錐に対する内側および外側からの近似階層を提案することができた。それに加えて、当初令和5年度に予定していた対称錐上の一般化二重非負錐の性質を解明する研究についても、上記で提案した近似階層を基に新たな一般化二重非負錐を提案し、既存の一般化二重非負錐との比較を踏まえて、それらの性質を議論することができた。そして、これら2つの研究成果はいずれも査読付き国際雑誌に投稿中である。以上の理由から、本研究課題は当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、令和4年度中に投稿した2本の論文をいずれも査読付き国際雑誌に採択させることを目指す。次に、本研究課題が当初の研究計画以上に進展していることを鑑み、令和5年度以降は、当初の研究計画および本研究課題に関連する話題として、一般化完全正値錐および一般化共正値錐、並びにそれらの錐をクラスとして包摂する凸錐を対象として、その幾何学的性質――とりわけ数理最適化との関連が深い面的構造や半正定値表示可能性などの性質――を調査する。本研究を行うに当たっては、統計数理研究所の特別共同利用研究員制度を活用し、凸錐の幾何学に造詣が深いブルノ・フィゲラ・ロウレンソ准教授から研究指導を賜ることで、研究を遂行する。そして得られた研究結果は、論文や学会発表を通して、積極的に対外発表を行う。
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