現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では下記の4つのマイルストーン(MS)を設定してプロジェクト進行している。【MS1:CMOS動作、MS2:トランジスタ動作、MS3:ヘテロ極性制御によるp, nチャネル作製、MS4:極性制御メカニズムの解明】 2022年度は特にMS3に注力し、「歪エンジニアリングによるpチャネル導電性の向上」で重要となる【③ナノパターン基板上AlNテンプレートの微細構造解析】において大きな進展が得られた。本研究では高導電性pチャネルを達成するため、AlNテンプレートにおける歪制御が重要となる。そこで、2種類のナノパターン加工サファイア基板(NPSS)上AlN薄膜試料を準備し(試料MOHおよびHVC)、ナノパターン構造や結晶成長方法の違いによる空孔形状や転位分布をTEM観察により評価することで、効果的な歪緩和に向けた検討を行った。試料MOHでは酸窒化アルミニウム(γ-AlON)とAlNの界面でミスフィット転位が多数発生し、貫通転位密度は8.3E8 cm-2だったのに対し、サンプルHVCでは空孔周辺での転位の大幅な増大は確認されず、結果として貫通転位密度は4.7E8 cm-2となっていた。以上の結果から、AlNのテンプレートとしては試料HVCが優れていることが示唆された。 本研究成果はJ. Electron. Mater誌に掲載され、AlN/NPSS界面のナノ構造が貫通転位密度に大きな影響を及ぼすことを報告した。[Y. Nakanishi*, Y. Hayashi*, T. Hamachi, T. Tohei, Y. Nakajima, S. Xiao, K. Shojiki, H. Miyake, and A. Sakai*, J. Electron. Mater., Vol. 52, pp. 10348-1-10 (2023).]
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