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2023 年度 実施状況報告書

結晶のヘテロ極性制御を利用したGaN CMOSモノリシック集積回路化技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22KK0055
研究機関大阪大学

研究代表者

林 侑介  大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (00800484)

研究分担者 上杉 謙次郎  三重大学, 研究基盤推進機構, 准教授 (40867305) [辞退]
宮本 恭幸  東京工業大学, 工学院, 教授 (40209953)
佐々木 拓生  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光量子科学研究所 放射光科学研究センター, 主幹研究員 (90586190)
三宅 秀人  三重大学, 工学研究科, 教授 (70209881)
研究期間 (年度) 2022-10-07 – 2026-03-31
キーワード窒化ガリウム / 2次元電子ガス / 2次元正孔ガス / 極性反転
研究実績の概要

2次元電子ガスをnチャネルに利用した「窒化ガリウム(GaN)高電子移動度トランジスタ(GaN HEMT)」は高周波パワーデバイスとして高速無線通信のインフラ増強を牽引してきた。対照的に、2次元正孔ガスは正孔移動度が小さいためpチャネルデバイスは実用化に至っていない。本研究では、高性能・低コストな相補型金属酸化膜半導体構造(CMOS)をGaNによって開発するため、窒化アルミニウム(AlN)テンプレート上における「ヘテロ極性制御によるCMOS集積方法の開発」、「歪エンジニアリングによるpチャネル導電性の向上」に取り組む。
この課題達成のため、2023年度は、【①AlNテンプレート上でのクリーニング・結晶成長条件の検討】【②CTR散乱を利用したAlN表面酸化膜の構造解析】【③p, nチャネルへのオーミック接触形成プロセスの確立】の3点に取り組んだ。①では、コーネル大学において分子線エピタキシー装置を利用して実験を行い、スパッタAlNテンプレート上でのクリーニング・結晶成長条件を検討した。結果として、酸表面処理・Al支援表面クリーニング、Alリッチ条件下でのAlNホモエピタキシャル成長、AlGaN不純物バリア層の導入を組み合わせることで、原子レベルで平坦な成長表面を得ることに成功した。②では、放射光施設SPring-8 BL11XUの分子線エピタキシー装荷型X線回折装置(MBE-XRD)を利用して、結晶トランケーションロッド(CTR)散乱から原子レベルでの表面構造の解析、及び、表面自然酸化膜がAlNの極性に与える影響を評価した。結果として、表面クリーニングの有無で結晶成長後のCTR散乱スペクトルが変化することを明らかにした。③では、デバイス作製プロセス確立のため、p, nチャネルへのオーミック接触形成のための電極材料成膜・アニール条件の最適化を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では下記の4つのマイルストーン(MS)を設定してプロジェクト進行している。【MS1:CMOS動作、MS2:トランジスタ動作、MS3:ヘテロ極性制御によるp, nチャネル作製、MS4:極性制御メカニズムの解明】
2023年度は特にMS3に注力し、「歪エンジニアリングによるpチャネル導電性の向上」で重要となる【①AlNテンプレート上でのクリーニング・結晶成長条件の検討】を重点的に進めた。本研究では高導電性pチャネルを達成するため、結晶性の高いAlNのホモエピタキシャル成長が必要となる。しかし、分子線エピタキシーではAlN表面の自然酸化膜の除去が難しく、酸表面処理・Al支援表面クリーニングが必須となる。今回、これらのクリーニング条件の最適化を行うとともに、その後の成長条件を探索することで、原子レベルで平坦な成長表面を得ることに成功した。特に、AlGaN不純物バリア層をバッファー層として利用することで、表面不純物によるAl被膜のピニング抑制、及び、Gaマイグレーションによる表面ピットの埋め込み、が平坦表面の実現に効果的だったと考えられる。

今後の研究の推進方策

2023年度は各MSについて下記の項目にフォーカスしてプロジェクトを進展させる。
MS1:リソグラフィー・成膜・エッチングの工程検討を進め、GaN CMOS回路作製のためのプロセス技術を確立する。
MS2:MOS型電界効果トランジスタ(MOSFET)において、高キャリア密度チャネルのリーク電流抑制のため、原子層堆積装置を利用して絶縁膜堆積条件を探索する。
MS3:有機金属気相成長法(MOVPE)によるヘテロ極性制御のための技術確立、及び、チャネル構造形成に取り組む。
MS4:MBE-XRDを利用してX線CTR散乱および反射高速電子線回折(RHEED)による解析を進め、原子レベルでの極性制御機構の解明に挑戦する。

次年度使用額が生じた理由

世界的な物価高騰、半導体原料・関連品の需要増、外貨に対する円安動向のため、発注・納品のタイミングが事前の想定から大きく変化し、結果として次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] コーネル大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      コーネル大学
  • [雑誌論文] Temperature dependence of liquid-gallium ordering on the surface of epitaxially grown GaN2024

    • 著者名/発表者名
      Sasaki Takuo、Iwata Takuya、Sugitani Kanya、Kawamura Takahiro、Akiyama Toru、Takahasi Masamitu
    • 雑誌名

      Applied Physics Express

      巻: 17 ページ: 025502~025502

    • DOI

      10.35848/1882-0786/ad237b

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Real-time observation of liquid-gallium ordering on epitaxially-grown GaN(0001) by X-ray scattering measurements2024

    • 著者名/発表者名
      Sasaki Takuo、Iwata Takuya、Sugitani Kanya、Takahasi Masamitu
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 63 ページ: 020901~020901

    • DOI

      10.35848/1347-4065/ad1f08

    • 査読あり
  • [学会発表] スパッタアニールAlN上MBEホモエピタキシャル層の成長条件探索と微細構造解析2023

    • 著者名/発表者名
      2.西村 海音、林 侑介、藤平 哲也、Cho Yongjin、Encomendero Jimy、Xing Huili (Grace)、Jena Debdeep
    • 学会等名
      2024年第71回応用物理学会春季学術講演会

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公開日: 2024-12-25  

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