研究課題/領域番号 |
23240024
|
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
横矢 直和 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (10252834)
|
研究分担者 |
神原 誠之 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (10346306)
佐藤 智和 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (50362835)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 複合現実感 / センシング / 拡張現実感 / テレプレゼンス / コンピュータビジョン |
研究概要 |
1.ユーザを含む実環境のセンシング 飛行船を用いた空撮による全天球ハイダイナミックレンジ画像の取得を行うとともに、実証実験フィールドの1つである東大寺境内において人体装着型全方位映像撮影システムを用いた移動撮影を実施した。また、全方位画像撮影時のカメラの位置・姿勢推定法の評価・改良を行い、位置・姿勢情報付き多視点画像からのシーンの3次元復元法を開発した。さらに、3次元復元時に生じる欠損を修復する3次元形状欠損修復法を開発した。 2.過去・現在に渡る拡張テレプレゼンス 遠隔地の映像に仮想物体を重畳合成し臨場感豊かに提示する新しい概念として研究代表者らが提案している「拡張テレプレゼンス」の有効性と有用性を検証するために、「遠隔地のバーチャル歴史体験」シナリオに基づく、過去・現在の情報を重畳合成可能な実時間高臨場感拡張テレプレゼンスシステムのプロトタイプを開発した。同システムは、全方位カメラで取得した遠隔地の映像をネットワークを介して伝送し、受信側で仮想物体を実時間合成し大型高精細ディスプレイとヘッドマウントディスプレイに提示する構成になっている。実際に、東大寺境内において消失している東塔(七重の塔)の仮想復元を行い、一般参加者を対象とした実証実験を通して提案方式の有効性を確認した。 3.過去・現在に渡る拡張現実感 映像提示デバイスとしてタブレット型情報端末を利用する、過去・現在の情報を端末の向きに追従しながら実時間重畳表示可能なモバイル拡張現実感システムのプロトタイプを開発し、東大寺・大仏殿をフィールドとする一般参加者を対象とした実証実験を実施した。なお、現状のシステムでは観察視点は事前に設定した場所に固定であり、自由な視点移動の実現は今後の課題である。同実験では創建時の大仏殿と大仏の仮想復元を行い、プロトタイプシステムのユーザインタフェース評価のための基礎データを収集した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つの研究項目とも概ね計画通りに進展しており、東大寺の協力を得て、東大寺境内(主に二月堂、東塔跡地、大仏殿周辺)をフィールドとした拡張テレプレゼンスと拡張現実感の機能を有する「バーチャル歴史体験」システムの実機を用いた一般参加者を対象とした実証実験を実施することができた。これによって次年度以降のプロトタイプシステムの改良とコンテンツ作成に資する基礎データを収集した。ただし、飛行船を用いた東大寺の空撮に関して、本年度は飛行船を飛ばす許可が得られず、次年度以降の課題として残った。 本研究は学界でも高い評価を得ており、特に、本年度は、実環境のハイダイナミックセンシングと拡張テレプレゼンスの研究に関して、日本バーチャルリアリティ学会2012年度論文賞および電子情報通信学会マルチメディア・仮想環境基礎研究会2012年MVE賞を受賞した。
|
今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、時空を越えた複合現実型情報提示技術の確立を目指して、要素技術開発と実証実験の相互フィードバックを基本として研究を推進する予定である。実証実験を重視し、具体的なフィールドとしては、本年度に本格化した東大寺との連携をさらに強化する。また、「バーチャル歴史体験」のシナリオに基づく実証実験のための歴史コンテンツとしては、東大寺・僧坊跡地における発掘遺跡の透視型拡張現実感や東大寺・西塔の仮想復元等を追加する予定である。
|