研究分担者 |
渡辺 満久 東洋大学, 社会学部, 教授 (30222409)
鈴木 康弘 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70222065)
後藤 秀昭 広島大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (40323183)
徳山 英一 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (10107451)
隈元 崇 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (60285096)
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研究概要 |
日本列島周辺海域で発生する大地震の震源となる活断層の分布とその特徴を解明するために,海上保安庁およびJAMSTECが取得した原データから新たに作成した90~150mグリッドのDEMをもとに立体視用画像を作成し,陸上の地形判読と同様な手法で1)海底活断層の正確な位置・形状,2)海底活断層と過去の大地震・津波との関連,3)海底地すべりや大規模崩壊の分布を検討した.本年度は,東北日本の太平洋沖海域を研究対象として調査研究を実施した. 日本海溝周辺には,東からアウターライズの正断層,海溝陸側斜面下部の逆断層,海溝陸側斜面のリニアメントがほぼ海溝軸に平行する走向で発達する.アウターライズの正断層は西落ちと東落ちのものがあり,その間には狭長な凹地を形成されている.長さ数10km断層が殆どであり100kmを超える長大なものは限られている.海溝陸側斜面下部の逆断層には三陸北部から中部にかけて発達する長さ200k程度の長大な活断層と三陸中部沖から茨城県沖にかけて発達する長さ400km以上の長大な逆断層が発達する.一方,斜面基部の海溝軸には顕著な逆断層は認められない.長大な逆断層の上盤側の高まりの範囲には,短い正断層状のリニアメントが群をなして認められる.活断層分布の特徴から,日本海溝沿いでは三陸沖のM8クラスの地震を除けば,海溝沿いでまれに発生するM9に達する地震と,陸に近い海域で比較的頻繁にM7クラスの地震が発生するのが特徴である.これは,南海トラフ沿いで100年から数100年間隔で発生するM8クラスの地震が発生するのとは大きく異なっている.プレート境界型地震予測では,破壊領域区分をもとに連動型地震などの議論が行われているが,現実的な地震予測のためには海底活断層の情報を重視すべきである.
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