研究課題/領域番号 |
23242029
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊藤 直哉 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (60261228)
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研究分担者 |
杉浦 謙介 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (40196712)
細谷 行輝 大阪大学, サイバーメディア・センター, 教授 (90116096)
鈴木 右文 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (90243873)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 外国語 / 学習管理 / e-learning / 誤答相関 |
研究概要 |
本研究は,e-learningによる効果的外国語教育を実現させるため,「自動弱点克服型eラーニング」と命名した教育方法を実現するための総合的研究である。目的達成のため,以下の三点の研究開発を行う。1.自動弱点克服型学習理論研究開発,2.自動弱点克服型教材開発研究,3.自動弱点克服型e-learningシステム研究開発,である。 1.に関しては,学習者に対して「学習動機付け調査」「Web学習ツール評価調査」を行い,学習支援システムとしてのWeb学習管理の可能性を限界を分析した。また,本学習モデルにおいて,中間言語データとなる学習者の誤答データの有効利用方法を「気付き理論」の中に位置づけた。2.に関しては,Gagnseacute等の提唱するID理論に準拠したモジュール性の高いコンテンツをCU委員会の協力のもと作成し,システムに実装した。3.に関しては,誤答相関を算出する誤答相関エンジンの開発を行い,実装した。 これら三つの課題を達成したことにより,本年度後期において,40人×3クラスの実験授業を実践した。調査の結果,内的動機づけには良好な結果をもたらしたと思われるが,本研究の主要課題である「誤答相関データ」と「学習者の気付き理論」との関係においては,今一段階の向上を模索する可能性があるものと思われる。誤答相関データをより有効に活用し,気付き理論の中で有効化するのは,次年度以降の課題である。主として,誤答相関に関する計算式を改良することになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で掲げた三つの課題に関し,各項目とも基本的なレベルの要件を満たし,本年度後期の実験授業を可能とするレベルに達した。したがって,おおむね順調に進展しているという評価につながった。 今後の最大の課題は,本年度後期実験事業によって蓄積された,もしくは今後の実験授業の継続により蓄積されていく誤答相関のデータを,気付き理論の中で,より生かしていく方法論を開発することにある。誤答相関データは,今後,蓄積が進むので,標準分布に近い,より的確なデータとして資産化するものと思われる。これらのデータの特徴を,より効果的にフィードバックするシステム的仕組み,誤答相関エンジンのより精度の高い計算式が求められることになる。 この誤答相関エンジンの精度向上が行われることにより,本研究の本来的目的が完全に達成されることになる。誤答相関エンジン内の誤答相関計算式の改良とシステムの連携に関しては,次年度最大の課題として残されることになる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる本年度は,実験授業を進めながら,誤答相関データの蓄積と,その使用方法の模索,誤答検索エンジンの精度向上が課題である。 DeKeyserモデルを中心に,declarative knowledge からproceduralknowledgeに到るcommunicative task の役割を解明する課題は十分な成功を収めたものと思われる。学習者に対して「学習動機づけ調査」「Web 学習ツール評価調査」を行ない,管理ツールとしてのWebのcommunicative taskツールとしての可能性と限界考察も,当初目標通りの成果を得た。 今後の最大の課題は,上記モデルにおいて算出される中間言語データとなる学習者の誤答データの利用方法及び相関方法を再構築する点にある。この再構築と,Webが得意とするドリル学習とを関連付けながら,最終的な学習支援システムの全体を完成させることが課題である。それと同時に,効果的学習成果をもたらすよう、コンテンツに付加されるタグ情報「難易度パラメータ」、「文法機能パラメータ」の設定基準及び方法の再検討も求められる。
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