研究課題
基盤研究(A)
外国語学習は様々な過程を含む。どういう順番や手続きで学習するのが効果的か定量的・定性的に明らかにする実証実験を行うため、(1)学習実験環境の構築と(2)その動作検証および予備実験を行った。(1)学習実験環境としてインターネット上に実験用eラーニング環境を構築した。本研究では、学習者に個別のIDを配布、学習者は学校や家庭のPCからアクセスして学習、学習履歴データとして設問毎のスコアや学習時間が蓄積され、研究者はそれらを解析し学習効果を検証するという手続きで進める。本環境は、学習管理システム(LMS)、学習プログラム、設問DBから成る。学習管理システムはユーザーや学習履歴を一元管理し、学習プログラムでは選択肢、タイピング等の一般的課題に加え、外国語学習に特徴的なリスニングや発音学習課題も含む様々な課題で出題し、設問DBには実験に必要な設問情報を蓄えることとした。この環境上に本研究で必要な様々な課題を含有した学習実験コースを準備した。(2)(1)で用意した学習実験コースを、実環境であるインターネット上で動作検証を行い、動作、スピード共に不具合がないことが確認できるまで改訂を行った。次に、大学生を対象とした予備実験を行った。予備実験において、コース内に設定したpretestとposttestを比較したところ、正答率が46%から55%へ有意に向上した。さらに、予備実験参加者のTOEICスコアを実験前後で比較したところ、トータルスコアの平均が432点から521点へと89点、有意に向上した。学習時間の平均は約20時間であった。同様の効果検証を社会人を対象に行ったが、類似した結果が得られた。平均約20時間の学習でTOEICのトータルスコアが約90点上昇した。これらの結果から、構築した実験システムが学習者の英語力を有意に向上させることが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
予定していた学習実験環境の構築と、その動作検証、予備実験が完了し、予備実験において学習効果があることも検証できたため、順調に進展していると考えている。
様々な条件で学習実験を行う準備が整ったので、連携研究者と共に実験を進める予定である。一方、タブレットPCやスマートフォンの急速な普及により学習者が学習に使用する端末が変わりつつある。研究期間を通して学習実験データを取得するには、端末の変容を視野にいれた実験環境の拡大を検討することとする。
すべて 2012 2011
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