研究課題/領域番号 |
23242032
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研究機関 | 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 |
研究代表者 |
山田 玲子 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 知能ロボティクス研究所, 主幹研究員 (30395090)
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研究分担者 |
宮森 良昌 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 知能ロボティクス研究所, 研究技術員 (10395064)
石川 保茂 京都外国語短期大学, キャリア英語科, 教授 (90257775)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 外国語学習 / eラーニング / 英語 / 学習効果 |
研究概要 |
外国語学習は様々な過程を含む。本研究では、どういう順番や手続きで学習するのが効果的か定量的・定性的に明らかにするための実証実験を行う。このような研究では、一人の学習者が数十時間の学習を行い、実験条件毎に数十人規模での学習実験を行う必要がある。そこで、この研究を実現する環境としてインターネット上に構築した日本語母語話者を対象とした英語学習用プラットフォームを使用して実験を行っている。2013年度は、実施方法はさまざまであるが、9つの研究協力校と、研究代表者の研究所で個人の被験者を募った実験を行った。学習実験はプレテストーポストテストデザインを用い、訓練の効果を訓練前後のテストによって評価した。訓練では、2種類の学習を組み合わせ、その順序効果や組み合わせ効果を検討した。その結果、[発音]→[音読]の順番で学習する方が、[音読]→[発音]の順番で学習するよりもテストのスコアの伸びが有意に高いこと、[音読]の前に組み合わせる学習の種類によりテストのスコアの伸びが異なることといった、具体的な順序効果が認められた。 また、このような学習実験で結果を出すためには、十分な学習量を確保する必要があり、学習継続の方策として、テストや学習の履歴を解析し、学習行動を分析した。その結果、前年度までに本研究には20時間程度の学習時間が必要であることを示したが、それに加えて、学習期間終了や宿題提出といった何等かの外部イベントの直前に学習が集中することが明らかになった。また、対面授業と組み合わせ、ブレンディッドラーニングや反転授業の形態での学習効果測定やアンケート等も実施し、運用形態による効果も検討した。これらは、今後の学習実験に役立つと同時に、授業外でのeラーニングによる学習での動機付けにも役立つ知見といえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学習実験の中心となる英語教育環境は、研究開始時にはWindowsPCが設置されたCALL教室または情報処理教室を想定していた。しかし、スマートフォン、タブレットの休息な普及の影響で、実験端末としてタブレットも可能とする必要が生じた。一方、大規模な学習実験データを収集するには、サーバで学習者、学習内容、履歴を一元管理する方式は継続しなければならない。学習システムを改定しつつ実験を行っているが、特に音声情報処理技術を使用した発音学習課題のタブレットへの移行は容易ではなく、予定していた学習実験を十分に行うことができない状態が続いている。その時々の状況下で実施可能な学校や実験参加者を募りつつ、実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
学習要素ごとに着目した学習実験とテストのコースを用意し、2種類の学習を組み合わせた実験を重ねてきた。その結果、一部の学習ではあるが、明らかな順序効果や組み合わせ効果が明らかになった。効果的な学習順序を求めるため、異なる学習課題について、同様の枠組みでの実験を継続する。2014年度は語彙学習内での正書法、発音、聞き取り、意味、といった学習項目間の順序効果、TOEICテストを例にとって基礎的な学習とテスト課題の学習の順序効果等をはじめとして、連携研究者も含めて様々な学習効果の実証データを蓄積する予定である。また、2013年度までに取得したデータの解析をすすめ、連携研究者と共有し、学会、論文発表を進める予定である。また、小学生~高校生、つまり初学者での検討や、学習前後の脳機能計測などからも、学習効果を様々な角度から検討する。
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