研究課題/領域番号 |
23243021
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
新川 敏光 京都大学, 法学研究科, 教授 (30216212)
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研究分担者 |
杉田 敦 法政大学, 法学部, 教授 (30154470)
横田 正顕 東北大学, 法学研究科, 教授 (30328992)
唐渡 晃弘 京都大学, 公共政策大学院, 教授 (80214576)
鎮目 真人 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (50285508)
島田 幸典 京都大学, 法学研究科, 教授 (50324596)
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キーワード | 移民 / 福祉国家 / シティズンシップ / 多文化主義 / 政治過程 / 国民国家 |
研究概要 |
本研究課題の目的は、入国管理制度・移民政策に関する豊富な研究蓄積を踏まえた上で、1)移民の社会的保護制度・政策、2)移民の政治的影響力、3)移民排斥運動とその背景、4)移民を「国民」として統合していく構造と原理に関して、国民福祉国家の間にどのような違いがあり、それが何によってもたらされているのかについて実証的に比較検討するともに、従来国民単位で実現されてきたシティズンシップが、福祉国家再編過程のなかで、どのように再確定されようとしているのかについて理論的考察を行うことである。このために、初年度の研究実施計画は、各人の研究テーマの相互調整、文献調査収集などの基礎研究を中心とした。また、研究会については、移民研究の進んでいる社会学や労働経済学の専門家を招いて、年度内に3回の全体研究会を行う。そのほか個人の聞き取り調査や少人数ワークショップについては、随時行うことにしていた。 以上の研究目的や研究実施計画のもとに、初年度の研究を進めてきた。当初の目標を上回り、4回の研究会と合宿を開催することができた(最後の研究会の主催は本科研ではないが)。2011年7月16日には都丸潤子氏(早稲田大学政治経済学部・教授)を京都に招き、「イギリス・英連邦をめぐる人の国際移動の変容と課題」についてご報告いただいた。引き続いて、2011年12月26日には田村哲樹氏(名古屋大学法学研究科・教授)、2012年2月15日には柴田晃芳氏(北海度大学公共政策学研究センター・研究員)を招き、各々、「デモクラシーのためのアーキテクチャ、アーキテクチャをめぐるデモクラシー」、「55年体制の崩壊と政策の変容-セキュリティ再編の政治過程」というテーマでご報告いただいた。さらに2012年2月28・29日には静岡において合宿を行い、科研担当者の島田幸典、唐渡晃弘、伊藤武、三氏から、各々、「現代イギリス政治における極右-BNPは『例外主義』を打ち破ったのか」、「フランス国民国家の形成-国民概念と外国人」、「イタリアの移民政策」と題する報告を受け、活発な議論が交わされた。さらに本科研の主催ではないが、2011年12月9日には京都大学で行われたRobert Boyerを招いての研究会は、本科研のメンバーが複数参加し、実質的に運営に携わった。これらの研究会を通じて、各国の移民の実態だけではなく、歴史・政治・政財の視点からみた近代国家と移民の関係、その揺らぎについて相当程度理解を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定を上回る研究会を開催し、既に相当程度科研課題に応える内容の調査が進められていることを考えれば、初年度に予定していた立ち上げ作業以上の成果が得られたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題について順調に研究を進めており、今後も申請当初の計画通りに研究を遂行していく。
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