研究課題/領域番号 |
23244091
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小原 一成 東京大学, 地震研究所, 教授 (40462501)
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研究分担者 |
岩崎 貴哉 東京大学, 地震研究所, 教授 (70151719)
加藤 愛太郎 東京大学, 地震研究所, 助教 (20359201)
汐見 勝彦 東京大学, 防災科学技術研究所, 研究員 (20500375)
武田 哲也 東京大学, 防災科学技術研究所, 研究員 (80455253)
浅野 陽一 東京大学, 防災科学技術研究所, 研究員 (00399362)
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キーワード | 深部低周波微動 / 沈み込み帯 / フィリピン海プレート / 南海トラフ / スロー地震 |
研究概要 |
微動カタログ構築に関する研究については、ハイブリッド法処理において解選択基準の異なる結果を比較し、最適なパラメタを検討したとともに、クラスタリング処理結果の時空間的連続性に基づいたグループ区分するアルゴリズムを開発し、空間範囲や時間幅等のパラメタ調整を行い、最適に区分されたグループにおける活動時系列の抽出を行った。また、微動活動の移動に関する特徴を抽出したとともに、移動の方向や速度が活動場所によって異なることを明らかにし、それらの結果は2つの論文(うち1つは査読中)にまとめられた。また、微動や他のスロー地震に関する従来までの結果と合わせ、同一プレート境界面上で発生するスロー地震と巨大地震との関連に関する招待講演等を行った。 微動発生源における構造変化抽出に関する研究については、愛媛県八幡浜市から佐田岬半島の先端、および高知県四万十市に至る総延長約100kmの測線に沿って、2-3km間隔で70台の地震計アレイを2011年9月に設置した。その後、12月と2012年3月に記録媒体とバッテリの保守を実施し、観測は良好に継続されている。途中、2011年12月から2012年1月にかけて、深部低周波微動の活発なエピソードが発生したが、問題なく記録されている。 微動移動特性に関する研究では、四国西部の1ヶ所に30台の地震計から構成される大アレイ、4か所にそれぞれ9台の地震計から構成される小アレイを構築した。地震計間隔は150~200m、口径は大アレイで2km、小アレイで800mである。すでに、短期的スロースリップイベントに伴う微動活動を記録し、スローネス解析に基づいて微動波群の検出と到来方向の予備的解析を実施したところ、ハイブリッドカタログで得られている微動源の位置と調和的であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カタログ構築に関する研究については、いくつかの研究論文、研究発表等を実施しているとともに、観測に関しては、予定通りに設置が完了し、順調にデータが蓄積されていることから、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画では、観測対象地域を平成23年度は紀伊半島三重県中部、平成24年度は四国西部としていたが、同一場所でより長期間にわたる観測を行うことにより、データ集積度を高め、結果に対する精度向上が期待されるため、より微動活動が活発で、微動発生領域の広い四国西部で2年間の観測を行うこととした。結果として、平成23年9月の集中豪雨による土砂崩れ等により、紀伊半島での地震計設置・観測は不可能となったことから、その判断は正しかったと言える。
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