研究課題/領域番号 |
23248039
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福田 晋 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (40183925)
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研究分担者 |
内野 敏剛 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70134393)
磯田 宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (00193392)
前田 幸嗣 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (20274524)
山本 直之 宮崎大学, 農学部, 教授 (10363574)
堀田 和彦 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (00192740)
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キーワード | 物流技術開発 / ナノミスト発生装置 / 産地輸出行動 / 製品差別化 / シミュレーション分析 / 輸送費削減 |
研究概要 |
研究目的に照らして、23年度の研究成果を要約する。 第1に、物流技術開発においては、輸送コンテナ内に微小ミストの発生装置を設置上し、輸出時の青果物品質を高度に保持することを目的とし、現状の課題である微小ミスト発生装置の小型化を図った。また、これとは別に市販の超音波加湿器に衝突板を設け、慣性力により大径液滴を除き、ミストの微粒化を図った。 第2に、産地の輸出行動とその効果を分析するため、国内産地の輸出量決定モデルを構築した。その際、複占競争下にある国内産地が、(1)価格基準によって輸出、(2)産地の売上が最大化されるように輸出、(3)産地間で協力的に輸出するという3つのケースを想定した。そして、長いものデータを用いてこれら3ケースのモデルの実証分析を行い、現在の長いも産地の輸出行動を説明する上では、(1)の価格基準による輸出が最も適合的であることを明らかにした。 第3に、青果物貿易モデルにおいて、日本産いちごの製品差別化について考察を行った。その分析結果を用いて輸送費削減のシミュレーション分析を行い,輸送費削減による日本産いちごの輸出拡大効果を明らかにした。その結果、香港において,日本産いちごは海外産いちごと差別されており,その差別化の程度は,生産期間の中間ほど強く,端境期に近づくほど弱まる傾向にある。また、輸送費の削減によって,香港における日本産いちごの輸入価格は43%低下し,我が国は香港に対する輸出量を85%増加させることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2012年4月以降東日本大震災に伴う原発事故の影響で、日本産農畜産物に対する不安感がアジア市場に波及した。本研究課題は、輸出先国のマーケットリサーチを下に、市場のセグメントを行い、ターゲット、製品戦略を打ち出すことをひとつの柱としているが、その基礎となる市場調査において、上述の影響により安全・安心をはじめ品質への信頼度が高い日本産農産物に対して大きなバイアスが生じた。この点から、市場調査が秋以降に遅れたことは、マーケット・マネジメントの研究グループの研究活動に影響を与えた。
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今後の研究の推進方策 |
上述した理由のため、マーケット・マネジメントの研究グループの調査研究が予定より遅れた。この点を考慮して24年度研究の立ち上げを早める計画である。これによって24年度上半期の調査研究進捗をあげ、予定通り市場セグメントに基づいたターゲット分析、製品戦略の構築につなげる予定である。
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