研究課題/領域番号 |
23248039
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福田 晋 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40183925)
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研究分担者 |
堀田 和彦 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (00192740)
磯田 宏 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00193392)
辻 一成 佐賀大学, 農学部, 准教授 (00253518)
狩野 秀之 宮崎大学, 農学部, 准教授 (00423509)
山本 直之 宮崎大学, 農学部, 教授 (10363574)
前田 幸嗣 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20274524)
森高 正博 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (20423585)
田中 史彦 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30284912)
新開 章司 福岡女子大学, 文理学部, 准教授 (30335997)
豊 智行 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (40335998)
内野 敏剛 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70134393)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 市場セグメント / 寡占的産地の輸出行動 / 為替相場変動 / 輸送費削減 / 通関手続き / 検疫手続き / ナノミストコンテナ |
研究概要 |
平成25年度の主要な研究成果は以下の通りである。第1に中国北京市の消費者におけるコメの購買行動について調査を実施し、市場セグメント分析を行った。その結果、安全性と品質を因子として5つのセグメントに分類でき、潜在的に日本産米を購入する可能性の高い安全性、品質ともに強く意識する消費者は20%程度存在することを明らかにした。 第2に、流通調査より,産地の輸出交渉が,国内市場価格をベースに交渉されている事が明らかとなった.次に,輸出価格と国内市場価格を分析した結果,両者の差は,輸出にかかる国内流通経費の差でほぼ説明されることが分かった.以上から,寡占的産地の輸出行動が,国内出荷時の手取りと同等かそれ以上の手取りが得られる場合においてのみ,輸出が行われていることを明らかにした。 第3に、香港市場を事例に、外国為替相場の変動が日本産いちごの輸出とナノミストコンテナを用いた輸送費削減効果のそれぞれに与える影響についての計量分析を行った結果、①円相場が13%上昇すれば、日本産いちごの輸出量は14%減少する。②輸送費削減の効果は円高の進行により弱まるものの、日本産いちごの輸出量を大きく(59%)増加させられることに変わりはないことを明らかにした。 第4に、佐賀県からの輸出動向では、中国市場では、①中国側の通関及び検疫手続きの煩雑さ、②商品管理体制の不備と商品ロスの高い発生率、③流通経費の高さ、④贈答の季節である中秋節から国慶節にかけての連休が旧暦に従うことにより毎年変動することへの対応が困難などの要因により、輸出が停滞していることを明らかにした。また、台湾市場への輸出についても、輸入梨の検疫が厳しく、生産者と生産圃場が限定されるなどの理由のため単年度のみの輸出実績となり、中国・台湾に代わって植物検疫の規制が比較的緩く、輸出手続きが簡素化されている香港が選択されていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1に小型化されたナノミスト装置を搭載したコンテナによる輸送試験は、装置開発の遅れにより次年度の課題とした。しかし、小型ナノミスト開発による実験は順調に行われた。 第2に、輸出産地最適出荷モデルの開発については、予定通り、産地行動の解明と理論的分析を行うことができた。 第3に、マーケティング・マネジメントについては、中国、シンガポールにおいて、コメを対象に市場セグメントの調査分析及びマーケティング戦略の構築を行った。最終年度は、畜産物、青果物について同様にセグメント分析とマーケティング戦略の構築を行う。 第4に、制度問題については、検疫、通関実務により、中国や台湾での輸出停滞が起こっていることを明らかにできた。また、商標登録問題も中国で大きな問題になっていることを実態調査から明らかにすることができた。 第5に、輸出計量モデル分析については、当初の予定通り、輸出コスト削減と為替変動の影響を明らかにすることができた。 以上のように、第1の課題について一部積み残しがあるが、ほぼ順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、ナノミストコンテナを用いた海上輸送試験とフライト輸送試験を行い、品質保持効果を実証分析するとともに、輸送試験された商品を対象に消費者の評価テストを行う。ナノミストコンテナを用いた輸送試験が、借用するコンテナの制約で12月ないし1月に実施せざるを得ない見込みである。したがって、事前の準備を万全にし、輸送試験後の分析を速やかに進めたい。 さらに、残された青果物や畜産物の輸出先国での市場セグメントをもとに、マーケティング戦略を構築することが課題である。 以上の分析を総合化して、輸出拡大条件及び展開戦略についてとりまとめを行い、最終的に研究成果をまとめて公刊する計画である。
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