研究課題/領域番号 |
23300065
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
久野 義徳 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10252595)
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研究分担者 |
小林 貴訓 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (20466692)
加地 大介 埼玉大学, 教養学部, 教授 (50251145)
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キーワード | 画像,文章,音声等認識 / 知能ロボティックス / 認知科学 / ユーザインターフェース / オントロジー |
研究概要 |
物体認識の研究は統計的機械学習の導入等で近年、進展してきているが、認識率はまだ十分ではない。そこで、自動物体認識が失敗したときには、ユーザに物体に関する情報(物体の属性)を教えてもらい物体を検出する対話物体認識に入るという統合物体認識を検討している。そのためには、人間が物体の属性を状況に応じてどのように表現するかを明らかにし、その表現された属性をもつ物体を画像から検出する必要がある。本研究では、前者を対話物体認識用オントロジーの構築、後者を画像属性法の検出と呼び、検討を進めている。平成23年度は、前者については、人間が物体の形や位置関係をどう表現するかを、被験者を用いた実験および文献調査により調べた。例えば、形については、人間は2次元の円と3次元の球の両方に対して「丸い」という表現を用いることがあるが、球の方をより「丸い」と感じるなど、属性表現についての有用な知見が得られた。後者については、形、位置関係、材質について検討した。特に、材質については、従来からあるビデオ画像から認識する方法の改良に加え、レーザレンジセンサを用いた認識法について検討した。レンジセンサでは物体の各点の面の向きが得られる。また、その点からの反射光強度も分かる.向きの変化に対する反射光強度の変化の関係を調べることにより、物体の面の性状が分かり、おおまかな材質が推定できることを示した。未知物体の材質を認識するという課題に対しては、紙、木、布、プラスチック、磁器の5分類について70%程度の認識率であるが、対話物体認識では、人間が「紙の箱」、「木の箱」等、指定してきた材質の物体かどうかを判断できればよいので、有効に利用できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対話物体認識のための画像から指定された属性を検出することについては、形や材質について検討し、現在、2件の学会誌論文を投稿中であり、計画以上に進展していると言える。ただし、対話物体認識用のオントロジーについては、検討を進めているが、部分的には研究発表を行っているが、全体の構成については、外部に発表できるほどまとまっていない。この点ではやや遅れている。したがって、全体としては、この評価になる。
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今後の研究の推進方策 |
画像属性検出については、対話物体認識に必要な属性の部分を検出できるように、さらに研究を進めていく。対話物体認識用のオントロジーについては、最初から細部にこだわると開発が進まないので、基本的なものを作ってから、次第に詳細を付加し、改良を進めることで、研究の円滑な推進を図る。
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