視覚が障害されると聴覚や触覚が視覚を代行するが,聴覚単独による行動パフォーマンスの実態は必ずしも良く把握されていない.本研究では,視覚障害者等の音源定位を検討した.一つはロービジョン者の音源定位が全盲者より低いことから,訓練でスキル向上が可能か,また可能であれば,それが維持できるかという問題である.もう一つは音源定位に対する外乱(周囲雑音)の影響評価である.前者では,短時間のフィードバック訓練で全盲者並みの音源定位能が確立できたが,訓練を断つと数か月で消滅した.後者では,目標音源に向かって移動する際,雑音源があるとその反対側に定位する傾向があり,移動軌跡もそれに合致していた.
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