研究課題/領域番号 |
23300308
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
苅宿 俊文 青山学院大学, 社会情報学部, 教授 (30307136)
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研究分担者 |
郡司 明子 群馬大学, 教育学部, 准教授 (00610651)
刑部 育子 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 准教授 (20306450)
茂木 一司 群馬大学, 教育学部, 教授 (30145445)
古川 聖 東京芸術大学, 美術学部, 准教授 (40323761)
戸田 真志 熊本大学, 総合情報基盤センター, 教授 (40336417)
植村 朋弘 多摩美術大学, 造形表現学部, 准教授 (50328027)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ワークショップ / 学習環境デザイン / ビデオツール開発 / リフレクション / 質的研究法 / F2LOモデル / 学習コミュニティデザイン / コミュニケーション |
研究概要 |
本年度は、研究の成果として本研究の研究分担者のほとんどが執筆した「ワークショップと学び(全3巻)」を東京大学出版会から上梓することができた。この3巻には、これまでの研究成果として、「ワークショップを概念化するためのキー概念としてのまなびほぐし」を提案した。この「まなびほぐし」の概念は、これまでワークショップの方法論としての解釈が主流だったワークショップの概念に、人間が手続きとしての無意味な動作も模倣してしまう認知的実験を例に引きながら、学習時の硬直化を明示していき、その解決策の1つとして「まなびほぐし」というキー概念でワークショップを見ていくことを提案していった。それに加え、わかりづらいとされたワークショップの前提や定義に新たなものを加えていった。具体的には、ワークショップの前提条件を「コミュニティ形成のための他者理解と合意形成のエクササイズ」として、それがないものがワークショップではないという前提条件を示すことでワークショップの条件付けをした。また、デザインをする際の場面の定義を協働性―即興生―身体性―自己原因性感覚としてみることを明らかにする等の実践的な定義や整理を明確し、これまで曖昧だったワークショップの定義に一定の方向性をしている。また、発達心理学の知見を基に、ワークショップを参加者やファシリテータとのコミュニケーション構造の変容としてみていくための分析単位として「F2LO」モデルを明らかにした。これを利用したワークショップの現場の分析はこれから拡がっていこうとしている。また、ワークショップの分析には、ヴァージョンアップを重ねた「デキゴトビデオ」と呼ばれる映像分析ツールをもとに、ワークショップの現場を分析した。映像分析ツールでは、ワークショップの分析の単位となるF2LO間の関係性の変化を会話分析やジェスチャー分析などを通して解明してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、昨年度、これまでの知見をまとめて出版したこともあり、そこで公表した概念、定義、分析単位、開発した映像分析ツールを社会的に展開出来たとしてとらえることができる。今後も、さらに実践的、研究的な立場を明確にしつつ、実践の現場の分析に持ち込もうとしていることを踏まえ、おおむね順調に推移しているといえる。 また、「ワークショップを概念化するためのキー概念としてのまなびほぐし」を提案したことで、これまでワークショップの方法論としての解釈が主流だったワークショップの概念に、人間が手続きとしての無意味な動作も模倣してしまう認知的実験を例に引きながら、学習時の硬直化を明示していった。それに加え、わかりづらいとされたワークショップの前提や定義に新たなものを加えていった。具体的には、ワークショップの前提条件を「コミュニティ形成のための他者理解と合意形成のエクササイズ」として、それがないものがワークショップではないという前提条件を示すことでワークショップの条件付けを実施し、整理をしたことが大きな成果につながる。そして、発達心理学の知見を基に、ワークショップを参加者やファシリテータとのコミュニケーション構造の変容としてみていくための分析単位として「F2LO」モデルを明らかにしたことで今後のワークショップの分析に大きな示唆を与えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、2013年度は、開発した映像分析ツールを利用し、多様なワークショップの分析を継続的に展開していく。これに加え、ワークショップをよりリフレクティブにしていくための活動で利用できる研究方法、分析方法に関する知見も開発していく。また、多くの人が利用できるような環境を整えていくことにも尽力したい。
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