研究課題/領域番号 |
23310194
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
竹安 栄子 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (70131414)
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研究分担者 |
春日 雅司 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (90152660)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 女性の政治参画 / 自治体再編 / 地域政治 / 女性地方議員 / 英国地方選挙 |
研究概要 |
本年度の研究内容は、1.前年度の実施した郵送調査の整理からデータ化、分析、2.昨年度予備調査を実施した英国の地域政治における女性の問題に関する情報収集の2つの課題に取り組んだ。 1.全国女性地方議員調査にかかわる研究の経過と成果 (1)郵送調査の終了:平成23年度に実施した全国女性地方議員調査および全3月末日を返送締切として3月10日に議会事務局を通して調査票を発送(発送数3,992)、3月24日までに約800票を回収した(4月末現在回収数1460)。平成24年度に入ってからも送付されてきた調査票も可能な限り回収し、平成24年6月末で最終回収数1,510(回収率37.8%)を得ることができた。(2)本年度は調査票のデータ化と分析が主要な研究課題であった。4月からコーディング作業に着手したが、コーディング最終段階は研究代表者と共同研究者がすべてとり行った。その他項目のコード化やコード表の作成などを終了し、7月に入力業者に委託して入力作業を終了した。(3)共同研究者がデータクリーニングを実施、概ねデータクリーニングを終了した段階で、単純集計結果を取りまとめ、ホームページでの公開の準備がほぼ整えられた。 2.共同研究者とともに、地方議会への女性の参画の進展状況を、日本と比較検討するためイングランドおよびスコットランドに関する情報収集を行った。 (1)The Central Library of Sheffieldで労働党における女性党員の活動に関する資料収集。(2)University of LincolnでBochel教授からイングランドにおける統一選挙の概要と女性の政治参画に関する近年の研究動向について情報提供を受け、意見を交換した。(3)Election Studiesでスコットランドの2012年統一地方選挙結果のデータの提供を受けた。(4)Stirling大学図書館で資料収集。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書に記載した本年度の研究は、(1)3月末に回収した調査票のデータ化作業と(2)調査結果の分析、(3)2012年5月の英国スコットランドの統一地方選挙における女性地方議員の選出過程と英国における女性の政治参画過程に関する資料収集調査の3つであった。 (1)データ化作業:①回収調査票のコーディング作業を行なった。過去の調査経験から回収調査票のコーディング終了まで4ヶ月かかると想定していたが、予定より早く3か月半で終了した。②コーディング作業終了後、データ入力作業は計画通り入力業者に委託し、滞りなく終了した。③データクリーニング:データ分析に入るに先立って、データクリーニングを実施した。しかし、データクリーニングが計画通り進められなかったため完璧なデータの作成にまで至らなかったが95%以上の精度のデータを作成することができた。(2)調査結果の分析:上記の通り、データクリーニング作業が完成しなかったため、結果の分析が計画通り進行していない。しかし、ほぼ完成したデータを基に今後の結果分析の方向性について共同研究者と議論を積み重ねることが出来た。(3)英国における資料収集調査:①The Central Library of SheffieldではSheffield労働党における女性党員の活動に関する資料を収集した。②University of LincolnでBochel教授からイングランドにおける統一選挙の概要と女性の政治参画に関する英国の近年の研究動向について情報提供を受け、意見を交換した。③Election Studiesでスコットランドの2012年統一地方選挙結果のデータの提供を受けた。また選挙の概要についても貴重な意見交換を行った。④Stirling大学図書館で、スコットランド地方議会における女性の政治参画に関する資料の収集を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年にあたる今年度は研究全体の総括を行う。その内容は次の4点である。1.平成24年3月に実施した「全国女性地方議員調査」の結果に基づく女性地方議員の実態についての成果のとりまとめ、2.1994年と2000年の全国女性議員調査結果を用いた20年間に及び女性地方議員の実態の変化の総括、3.平成の大合併による自治体再編と女性議員選出の関係の分析、4.英国、特にスコットランドの地方議員選挙に関する情報収集と分析、5.研究全体の成果を報告書に取りまとめ、ホームページで公開。 1.「全国女性地方議員調査」の調査結果を分析し、①「地元型」「政党型」「市民型」の議員類型を分析枠とした女性地方議員の実態を把握し、本研究の主要目的であるところの②平成の大合併による議員定数の削減が女性議員選出に及ぼした影響を明らかにする。 2.過去に実施した全国女性地方議員調査結果と上記結果の比較研究に基づいて、20年間の地域政治における女性の参画の実態を明らかにする。 3.平成の大合併が地方議会への女性の進出に及ぼした影響を、A)伝統的社会関係・政治文化の希薄な都市型地域と合併した場合は女性議員が増加する、B)伝統的地域社会の合併の場合には女性議員が減少する、との仮設に基づき検証する。上記の議員類型を分析軸とした場合、個人的ネットワークと無党派層に依存する「市民型」女性議員は最低得票数の上昇によって当選が困難になると考えられる。そこで合併の地域別パターンが議員類型(「地元型」、「政党型」、「市民型」)別女性議員の選出に与えた影響を明らかにする。 4.過去2年間の研究過程で、政権交代後のイングランドとスコットランドの地方議会選挙の動向を跡付けるため資料収集を行ってきた。最終年の今年は、①スコットランドの地方議会選挙情報の追加収集、②シェフィールド労働党を中心に政党が女性の政治参画に果たした役割を検証する。
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