研究課題/領域番号 |
23320110
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐久間 まゆみ 早稲田大学, 大学院・日本語教育研究科, 教授 (30153943)
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研究分担者 |
石黒 圭 一橋大学, 国際教育センター, 准教授 (40313449)
藤村 知子 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 教授 (20229040)
渡辺 文生 山形大学, 人文学部, 教授 (00212324)
田中 寛 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (60207131)
宮田 公治 松蔭大学, 異文化コミュニケション学部, 専任講師 (40308268)
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キーワード | 大学学部留学生 / 講義の談話の表現と理解 / 受講ノート / 要約文 / 口頭要約 / 文章・談話型 / 文段・話段 / 情報伝達単位 |
研究概要 |
本年度の主な目標は、次年度以降の分析に向けて、大学学部学生による講義理解の実態を把握するデータの収集と分析方法を決定することである。本研究の実施計画に基づき、以下の2点について検討した。 1.本年度の研究課題は、基礎的なデータの整備にあるが、以下の(1)~(4)を実施し、ほぼ完了した。 (1)日本人大学生33名、学部留学生36名を対象とする講義Aの理解調査を7月に実施し、3種のデータ(受講ノート、要約文、口頭要約)を追加収集した。すでに分析済みの講義Aの理解データの量的分析が可能になった。 (2)新規に講義G・H(各90分間)を10月に収集したが、鮮明な映像と音声を備えており、理解データの追加収集の際に、安定した再生が可能なものである。同時に、日本人学生23名と学部留学生25名による2種の講義G・Hの理解データを収集した。 (3)講義G・Hの録画資料を用いて、2月に日本人大学生49名の理解データを追加収集した。 (4)収集済みの講義12種と新規の2種の文字化資料の表記基準を統一した。 2,本年度の検討課題は、分析単位の認定基準の整備にあるが、以下の(5)~(7)に関して継続している。 (5)3種の講義A・G・Hの原話と理解データの分析単位として、「文」「節」「情報伝達単位(CU)」「文段」「話段」等の認定を行うとともに、各単位の認定基準の改訂を進めている。 (6)講義の談話の表現特性を分析するために、「日本語機能文型」の一部を改訂し、全14種の講義における機能文型の出現傾向を把握した。また、「節」「情報伝達単位」等の他の分析単位との関連についても検討している。 (7)講義理解の3種のデータ(受講ノート、要約文、口頭要約)を照合して、それぞれの分析方法と相互の関連について討議を重ね、次年度以降における分析方法の基本的方針と共同研究の作業分担を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災の影響もあり、科研費の交付決定の通知が6月になつたが、本研究の主な調査対象となる大学学部留学生の一時帰国や来日の遅延により、当初、今年度に予定されていた講義の理解調査の実施が遅れたため、新規の講義の理解データの収集と処理が遅れ、学部留学生対象の調査の一部に関して次年度に実施するように変更した。
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今後の研究の推進方策 |
講義の理解データの収集と処理が遅れてはいるが、すでに分析済みの講義Aの追加調査を中心として、分析の可能なところから着手し、研究成果をまとめ、できるだけ早い時期に国内外の学会等における研究発表やパネル等を積極的に行うことにより、関係各位の批判・助言等を積極的に求め、本研究を推進する上でのさらなる展開を図ることにした。また、本研究において、初めて実施した「口頭要約」の調査に関しては、インタビューの方法の問題や、「受講ノート」「要約文」のみならず、講義の配布資料やパワーポイント、板書等との相互関連を検討する必要があるなど、新たな研究方法の可能性が生じている。
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