研究課題/領域番号 |
23330036
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
宮川 成雄 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (30190739)
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研究分担者 |
須網 隆夫 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80262418)
花本 広志 獨協大学, その他の研究科, 教授 (40228515)
宮澤 節生 青山学院大学, 法務研究科, 教授 (60001830)
宮下 次廣 日本医科大学, 医学部, 教授 (50174181)
和田 仁孝 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80183127)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 臨床法学教育 / 法曹教育 / 法科大学院 / ロースクール / リーガル・クリニック |
研究概要 |
臨床法学教育の方法論を、継続的な法曹教育において活用するためのプログラムとして、本研究グループが開発した臨床心理学の知見を活用した司法修習生のトレーニング・プログラムについて、平成24年7月12日にイギリスのダーラムで開催された国際臨床法学教育ジャーナルの研究大会において、研究代表者の宮川成雄と研究協力者の岡田裕子氏(弁護士)が報告を行い、日本の臨床法学教育の発展状況について国際的発信ができた。また、9月には、昨年度に引き続き司法修習生に対する選択修習プログラムを提供・実施した。 法科大学院教育におけるエクスターンシップ教育については、平成24年12月1日に早稲田大学においてシンポジウムを開催した。そこでは、早稲田大学を始めとする代表的な法科大学院の教育経験が報告され、また人事院から霞が関インターンシップの実施状況についての報告が行われた。これによって、派遣先での教育効果の検証方法や、学生の守秘義務遵守についての課題等が明らかになった。 臨床法学教育の国際的な動向の把握については、平成24年4月30日から5月3日までアメリカのロサンゼルスで開催されたアメリカ法科大学院協会臨床教育部会の研究大会に、研究協力者として外山太士氏(弁護士)および原口佳誠氏(スタンフォード大学客員研究員)を派遣し、アメリカの研究動向を把握した。また、中国およびアジアの臨床法学教育の実施状況については、平成24年11月に北京で開催されたアジア太平洋臨床法学フォーラムに、宮川および研究分担者の宮澤節生氏を派遣した。同フォーラムでは宮川が、日中韓の臨床法学教育の協力関係についての基調講演を行った。さらに、平成25年1月には、アメリカのニューオリンズで開催されたアメリカ法科大学院協会年次大会に宮澤氏を派遣し、ロースクール修了生の就職難等,アメリカの状況を把握することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた法科大学院における臨床法学教育に関する4つの研究項目(①実態調査、②法曹養成と医師養成の比較、③国際比較、④継続法曹教育)の進捗状況を説明する。 ①エクスターンシップの実施状況について、科目の設置に関しては全74法科大学院のHPを調査し、また実施の状況に関しては臨床法学教育学会との協力により詳細な情報を取得することができた。この実態調査については、2012年12月1日に早稲田大学で開催したシンポジウムで報告する機会をもった。 ②法曹養成と医師養成の比較については、研究分担者として本研究組織に参加いただいている宮下次廣教授(日本医科大学)と継続的に意見交換の機会をもっており、2013年度には、全国の医学部で実施されている「共用試験」と法科大学院で現在検討中の「共通到達度確認試験」のあり方について研究を進める予定である。 ③国際比較については、研究代表者の宮川が、イギリス、韓国、および中国の国際研究大会において、日本の状況について報告し、また研究分担者がアメリカ等の研究大会に参加し、国際的な臨床法学教育の動向について把握する活動を行っている。さらに、2013年度には12月にカリフォルニア大学バークレー校ロースクールとの共同で、ロースクール教育と法曹のアイデンティティをテーマとするシンポジウムの開催の準備をすすめている。 ④継続法曹教育については、司法修習の一環として選択型実務修習のプログラムを開発し、これまで2011年度及び2012年度に早稲田大学臨床法学教育研究所が主体となってこのプログラムが実施されている。また、2012年度には新たな継続的教育のプログラムとして家事調停委員を対象とした研修プログラムを開発し、2013年3月には同じく早稲田大学臨床法学教育研究所が主体となって研修会を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題が取り組んでいる4つの研究項目について、それぞれ次のような研究推進の方策を立てている。 ①臨床法学教育の実施の実態調査については、調査依頼大学5校程度の協力を得て、法科大学院修了生を対象とした臨床法学教育科目の教育的効果に関するアンケート調査を実施する予定である。 ②法曹養成と医師養成の比較については、法科大学院教育について現在検討されている「共通到達度確認試験」と、医学部で実施されている「共用試験」の比較を進め、両試験に関わる共通課題等が明らかになれば、早稲田大学でのシンポジウムの開催を計画したい。 ③臨床法学教育の国際比較については、2013年度5月に、研究代表者が韓国において日本の法科大学院制度の状況および臨床法学教育の課題について報告する予定であり、また12月にはカリフォルニア大学バークレー校ロースクールにおいて、ロースクール教育と法曹のアイデンティティをテーマとするシンポジウムを開催する予定である。2014年1月には、アメリカ法科大学院協会の年次総会に研究分担者を派遣して、アメリカにおける臨床法学教育の動向を把握するように努める。 ④継続法曹教育については、司法修習の選択型実務修習プログラムの内容改善に取り組み、また、同様のプログラムを2012年度に日本司法支援センター(法テラス)のスタッフ弁護士を対象として実施したことを踏まえて、同プログラムの汎用性を更に検討したい。2012年度に実施した家事調停委員を対象とした研修プログラムについても、その内容の改善に取り組みたい。
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