研究課題/領域番号 |
23330163
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
蘭 由岐子 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (50268827)
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研究分担者 |
山田 富秋 松山大学, 人文学部, 教授 (30166722)
中村 文哉 山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (90305798)
坂田 勝彦 東日本国際大学, 福祉環境学部, 准教授 (60582012)
廣川 和花 大阪大学, 適塾記念センター, 准教授 (10513096)
井上 清美 神戸常盤大学, 保健科学部, 准教授 (20511934)
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キーワード | ハンセン病 / 歴史 / 隔離 / つながり |
研究概要 |
2回の研究会をとおして、社会学・歴史学・文学等を専攻するメンバーがそれぞれの領域におけるハンセン病研究の成果を提示し、それらの知見を研究会メンバーで相互に共有することができた。具体的には、メンバーの上梓した著作や論稿をもとに、従来の糾弾史とは異なる歴史認識のあり方や、患者運動ではほとんど問題化されてこなかった断種・堕胎の問題と病者によるその意味づけ、および、療養所入所者の身体をとおした共同性の問題などについて、理解を深めた。また、研究代表者と研究協力者4名とで、A療養所自治会所有の書庫を調査した。今年度は、すべての棚にある資史料の表紙をデジタルカメラで撮影し、表題をリスト化する作業に着手することができた。この療養所の文書類に関する調査は今回がはじめてであり、この作業は当該自治会で保存されてきた文書類の全容を把握しその保存をはかる企ての端緒となった。概観したところ、これらの資史料は現在にいたるまでの療養所内部の人間関係や生活実態をあらわしているとともに、療養所「外」の組織や人々と入所者との<つながり>をあらわしていることがわかった。さらに、研究分担者のインフォーマルな伝手によって、ハンセン病対策にかかわった保健医療従事者ヘアプローチする手立てを確保した。調査対象者への聞き取りは次年度に実施する予定である。その他、研究分担者および研究協力者各自の問題関心にもとづいて文献資料の読み込みを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、A療養所における資史料収集に着手することができたこと、また、ハンセン病者の経験に関する文学および歴史学における最新の研究成果について、研究会開催をとおして研究メンバー各自が理解し、問題意識を共有することができたこと、さらに保健医療従事者としてハンセン病対策にかかわった者へのアクセスのてがかりが得られたことから判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究会の開催回数を増やす。あるいは、研究分担者および研究協力者をサブグループ化し、そのサブグループごとにミニ研究会を催し、チームとしての成果を出せるようにする。また、かつてハンセン病対策に関わった保健医療従事者へのアプローチは、その意味づけが訴訟期以降ドラスティックに変わったため、調査対象者が信頼をおく者の紹介によるなどして、より慎重におこなっていく。
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