研究課題/領域番号 |
23330163
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
蘭 由岐子 追手門学院大学, 社会学部, 教授 (50268827)
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研究分担者 |
廣川 和花 大阪大学, 適塾記念センター, 准教授 (10513096)
井上 清美 神戸常盤大学, 保健科学部, 教授 (20511934)
石居 人也 一橋大学, 社会(科)学研究科, 准教授 (20635776)
山田 富秋 松山大学, 人文学部, 教授 (30166722)
坂田 勝彦 東日本国際大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60582012)
中村 文哉 山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (90305798)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ハンセン病 / ハンセン病文学 / グローバルヒストリー / アーカイブズ学 / 社会学 |
研究概要 |
本年度の研究実績は、ハンセン病市民学会ほか複数の学会における成果報告、「負の遺産」の視察、春の研究会開催等から成る。 5月に研究分担者のひとりがハンセン病市民学会において、分科会「ハンセン病問題研究のあらたな地平へ」をコーディネートし、研究代表者と研究協力者3名が社会学、歴史学、文学、アーカイヴズ学の観点からハンセン病問題がそれぞれの学問領域でどのように研究されてきたのか、また現在展開されている研究トピックはなにかについて具体的に報告した。9月には、第18回国際ハンセン病学会がベルギー国ブリュッセル市にて開催され、研究代表者および研究分担者、研究協力者各1名が社会学、歴史学、文学の視点から日本のハンセン病問題研究について報告するとともに、各国の研究者および活動家、回復者と交流した。また研究分担者・研究協力者が、近代ハンセン病史、沖縄におけるハンセン病療養所構想等について報告した。また、研究代表者と研究分担者1名がノルウェー国ベルゲン市にあるハンセン病博物館と市のアーカイヴズを、また、研究代表者が世界の「負の遺産」であるアウシュヴィッツ収容所博物館をハンセン病回復者2名とともに視察した。その過程において、彼らのライフストーリーをより詳細に聞くとともに、ハンセン病回復者の現在の生のあり方を心身両面から具体的にとらえ、理解することができた。 春の研究会では、(ア)戦後長島愛生園から社会復帰し、出身地に戻って市長選に出馬し破れ、その後障害者福祉施設開設に奔走した鈴木重雄の生を出身地域の歴史に探った研究、(イ)ハンセン病文学読書会の実践報告とその可能性をさぐる研究、(ウ)ハンセン病文学における女性像をさぐった研究について、報告がなされ、濃密な議論をおこなった。(ウ)については、ハンセン病者に関係した文学者の研究をしている外部の研究者を討論者として招聘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では、公衆衛生看護学の分野からのハンセン病問題研究をひとつの柱に据えてきたが、調査対象とするべき「ハンセン病問題にかかわった経験をもつ保健師の把握とアプローチ」が今までのところ不成功に終わっているためである。所在を把握しても高齢化のため亡くなっていたり、話を聞けなくなったりしているからである。 また、A療養所の文書資料・史料のまとめの作業が、写真が不明瞭であったことで、追加調査が必要な事態になっているため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度が最終年度となるため、調査研究のまとめにはいりたい。 1つは、A療養所の文書資料・史料の目録をつくり、A療養所自治会にその概要説明をし、対外的な使命を果たしたい。また、遅れている公衆衛生看護学分野の調査を精力的に進めていきたい。 その他、各研究分担者および研究協力者の課題とするテーマにもとづき、各自が、来年度1年である程度めどがつくよう、研究過程を進めていく。 とりわけ、歴史の証人でもある関係者が急速に高齢化し、認知機能の低下を招いているとの情報が入っているので、できるかぎり今のうちにコンタクトをとり、生の声をきくようにしたい。
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