研究概要 |
"かわいい"は,現代日本のポップカルチャーを代表する言葉であり,日常生活のざまざまな場面で用いられる。本研究では"かわいい"を感情としてとらえ,その特徴と機能について心理(主観)・生理・行動の3側面から検討する。本年度は3年計画の初年度として,今後の研究の基礎となる5つのテーマに取り組んだ。(1)かわいさと関係の深い要素として"幼さ"に注目し,大学生を対象とした質問紙調査を行った。その結果,かわいさと幼さには中程度の相関が認められるが,幼さに関係のないかわいさも存在することが明らかになった。この成果は論文として発表した。(2)かわいい写真に対する心理生理学的反応を測定する実験を行った。その結果,かわいい写真を見るときは笑顔の表情を作る大頬骨筋が強く活動することが分かった。(3)かわいい写真を見ることがその後の行動に与える影響を調べる実験を行った。その結果,かわいい写真を見ると,注意を必要とする課題の成績が向上することが示された。(4)標準刺激を作成するために,日本人の幼児の顔写真を新たに撮影し,顔面形状パラメータの計測を行った。(5)かわいいと感じる対象や頻度と社会不安などのパーソナリティ特性との関係について大学生を対象とした質問紙調査を行った。これらの実験・調査のデータは現在も分析を続けており,今後の2年間で成果を公表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,3年計画の初年度として,交付申請書に記載したすべてのテーマを開始することができた。しかし,データ分析に時間がかかっており,成果を公表するには,もうしばらく時間がかかる。
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