研究概要 |
コペンハーゲン大学のIb Madsenと共同で実代数的K-理論を研究している。この理論は、双対性を持つ完全圏(C,D)に対して、Gal(C/R)-同変なスペクトラムKR(C,D)を対応させる。このスペクトラムの同変ホモトピー群は、我々が実代数的K-群とよぶ双整数次数付きのアーベル群の族となる。我々の予想では、代数的K-群に対して成立する基本定理の実版が実代数的K-群に対して成立する。特に、加法定理、ファイブレーション定理、そしてWaldhausenの近似定理の実版が成立すると予想しそいる。実代数的K-群の計算は困難である。そのため、われわれは、(C,D)の実直和K-理論スペクトラムとよんでいるGal(C/R)-同変なスペクトラムKR'(C,D)を定義した。この理論は、群ホモロジーの手法による計算になじみやすいものである。例えば、双次数(0,0)でのKR'(C,D)の同変ホモトピー群は、(C,D)内の対称空間のGrothendieck-Witt群となっている。同変スペクトラムとしてのカノニカルなKR'(C,D)からKR(C,D)への写像が存在し、当該年度の主結果はCが分裂完全であるとき、この写像が弱同値になるというものである。これらの結果は実代数的K-理論に関するモノグラフとして出版する予定であり、当該年度に100ページほど完成した。
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