研究課題/領域番号 |
23340028
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小池 茂昭 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90205295)
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研究分担者 |
石井 克幸 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (40232227)
石井 仁司 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70102887)
長井 英生 関西大学, 工学部, 教授 (70110848)
三上 敏夫 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70229657)
小川 卓克 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20224107)
岡部 真也 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70435973)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 粘性解 / 最大値原理 / 弱ハルナック不等式 / 比較原理 / 完全非線形方程式 / 動的計画原理 / 最適制御理論 / レヴィ過程 |
研究概要 |
Lp粘性解の基礎理論に関して、係数と非斉次項が冪乗可積分関数空間に属するとき、Aleksandrov-Bakelman-Pucciの最大値原理が成立するための冪の臨界的な条件を導いた。更にその仮定の下、弱ハルナック不等式および、局所最大値原理を示した。 レヴィ過程を含んだ状態方程式をもとにしたコスト汎関数の最大最小問題(微分ゲーム)の値関数が対応する非局所項を含んだアイザックス方程式の粘性解であることは知られているが、与えられた関数(係数等)に関し一般的な仮定の下で、値関数の一意性を証明した。ここでは、非局所項を含む完全非線形方程式の一意性を比較原理を経ないで結果を得ている。粘性劣解・粘性優解をそれぞれ、適切な二重の上限・下限近似を用いた。そのために、二重近似関数の基礎的な性質を整備した。 低階微分が一次以上の増大度があり、レヴィ過程から導出される非局所作用素も含む完全非線形方程式の非有界粘性解の比較原理を研究した。特に、非有界領域に、非有界粘性解の適切な増大度と適切な係数の増大度を提唱し、その下で比較原理を構築した。また、有界領域における粘性解の境界条件は方程式も考慮した粘性解の意味で考えるのが適当であることが知られているので、そのようなディリクレ条件下で、低階微分項の増大度と、粘性解の境界条件の関係を研究した。現在、粘性劣解が境界まで込めてヘルダー連続性を導くことができたので、それらを利用する手法を開発中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最適制御の一般化でもある確率微分ゲームにおいて、状態方程式がレヴィ過程を含む場合に、粘性解の一意性を得ただけでなく、その証明法も通常の比較原理を用いず、最適性条件を満たすことを示すことで、新しい視点を提供できたと考える。 また、レヴィ過程を研究するために現れる非局所作用素の境界値問題および全空間での問題に予定より早く着手できた。
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今後の研究の推進方策 |
更に非局所項のある偏微分方程式の粘性解の一意性等の基礎理論を確立する。特に、低階微分項が一次以上の増大度を持つ場合の粘性解の比較原理を有界領域、非有界領域でそれぞれ研究する。 一方、非有界係数、非有界非斉次項を持った完全非線形方程式の臨界指数の場合の最大値原理や高階微分の評価のCaffarelliの技法を経ない方法を研究する。
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