研究課題/領域番号 |
23340034
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
宮地 晶彦 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (60107696)
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研究分担者 |
岡田 正已 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (00152314)
古谷 康雄 東海大学, 沼津教養教育センター, 教授 (70234903)
菊池 万里 富山大学, 理工学研究部, 教授 (20204836)
田中 仁 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 特任助教 (70422392)
冨田 直人 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10437337)
澤野 嘉宏 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (40532635)
中井 英一 茨城大学, 理学部, 教授 (60259900)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 調和解析 / 関数空間 / 特異積分 / 多重線形作用素 / ハーディ空間 / BMO |
研究概要 |
1.調和解析に現れる種々の関数空間と作用素の研究。 変動指数のHardy空間の理論とその双対空間にあたるCampanato空間の一般論を確立した。またMorrey空間の種々の性質を調べ、Morrey空間における分数階積分作用素の有界性の研究を、σ加法族の増加列の与えられた測度空間上でのある種の正値作用素に関わる性質としてまとめて整備した。これには、マルティンゲールの考え方やポテンシャル論の方法を利用した。これらの結果をトレース作用素の評価に応用した。一般化したRieszポテンシャルに対するMorrey空間でのSobolev型埋め込み定理をダブリング条件を満たさない一般の測度空間上で確立した。多重線形の擬微分作用素でシンボルがCalderon-Vaillancourt型の条件をみたす場合について、昨年度までに得ていた有界性の結果を論文にまとめた。また多重線形のフーリエ乗子作用素で乗子が原点のみに特異点を持つ場合について、作用素がルベーグ空間またはハーディ空間の積空間において有界となるため乗子の条件として、これまでに知られていたより弱い条件を見つけた。見つけた条件は、シンボルがCalderon-Vaillancourt型の条件をみたす多重線形擬微分作用素についての条件ときれいに対応しており、精密なよい条件であると考えられる。 2.偏微分方程式論への関数空間と特異積分作用素の理論の応用。 関数の積の微分に関わる或る双線形不等式を2進BMO空間において示し、その結果をナビエ・ストークス方程式の解析に応用した成果を論文にまとめて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的としている調和解析に現れる種々の関数空間の研究では、モーレー空間、重み付き空間、変動指数空間などに関して着実に成果が上がっている。調和解析に現れる作用素の研究においても、特に目的としている多重線形の場合に、ほぼ満足のいく成果を得た。これらの結果を偏微分方程式に応用することについても、Navier-Stokes方程式への双線形BMO評価の応用など、成果があった。 領域上の重み付きHardy空間での特異積分作用素の有界性に関しては、領域の変換に関わる関数空間の性質を詳しく調べる必要がある。これに関しては、2012年11月に首都大学東京で開催した研究集会の際に、招聘したPekka Koskela氏やYuan Zhou氏らとの討論で、領域上での擬等角写像の研究や領域上の関数を全空間へ延長することに関する研究と関連があるらしいことがわかった。これらの問題は、我々が以前に得ていた重み付きHardyの変数変換に関する性質と深く関わっていることがわかってきた。
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今後の研究の推進方策 |
多重線形のフーリエ乗子作用素の研究は、乗子が原点のみに特異点を持つ場合については、ほぼ満足のいく結果が得られたので、今後は、その結果を重み付き空間での評価に一般化することを進めたい。さらにそれと平行して、乗子の特異点集合が1次元以上の部分空間である場合へ研究を発展させたい。 多重線形型の最大関数や多重線形の分数階積分作用素の研究は、重み付きLebesgue空間の場合とモーレー空間における評価を更に深めたい。重み付きLebesgue空間の場合には、一般的な重みの付け方をする場合に難しい問題が生じる。モーレー空間における評価でも重み付きの場合が難しい。これらについて、最大作用素が有界となる変動指数Lebesgue空間の特徴付けに関するDieningの研究や、ポテンシャル型作用素の評価に関する研究などが、ヒントになりうると思われる。 楕円型偏微分方程式の重み付きの空間での評価に関する研究では、擬等角写像に関する研究や関数の延長に関する研究を参考にして新しい方向を見出したい。当面、Pekka Koskela、Yuan Zhou、Dachun Yangらによる最近の研究を検討することから手をつけて行く。
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