研究課題/領域番号 |
23360382
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
稲田 喜信 東海大学, 工学部, 教授 (60302791)
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研究分担者 |
高信 英明 工学院大学, 工学部, 准教授 (40308177)
高木 力 近畿大学, 農学部, 教授 (80319657)
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キーワード | 形状制御 / フィードバック / 誘導成功率 / 地上ロボット群 / 飛行船 / 連携制御 / 魚群運動 / 3次元解析 |
研究概要 |
平成23年度は(1)群制御アルゴリズムの開発、(2)群制御ハードウェアの開発の2点について下記の通り取り組み成果を得た。 (1)群制御アルゴリズムの開発:編隊飛行中の飛翔体群の編隊形状を変化させるために、新たに形状制御用の制御モデルを設計し、従来モデルに組み込んだ。その結果、形状変形時に多発していた群の分裂を減少させることに成功し、目標形状にある程度安定に収束させることに成功した。また、要素間の性能差が存在する時の群制御の特性を明らかにするため、一部の機体が他の機体を誘導するモデルを作成し、誘導機体の比率の違いが誘導の成功率に与える影響を分析した。その結果、誘導の成功率に強い影響を持つパラメータが明らかになった。また、群制御アルゴリズムの参考データを取得するため、魚群運動の3次元解析システムを構築し、成長段階が異なる個体からなる魚群がいかにして群を安定に維持できるかを分析する実験を開始した。 (2)群制御ハードウェアの開発:飛翔体と地上移動型ロボット群の連携を実現させるため、飛行船ロボットに気圧高度センサを搭載し、地上移動ロボット群に高度データを送信する実験系を構築した。その結果、飛行船ロボットの高度変化に応じて地上ロボット群の運動を制御することが可能になり、飛行船の上昇と下降に伴って、地上ロボットが集合と分散を切り替える実験に成功した。また、小型飛翔体の群制御に使用する機体の空力性能を分析するための風洞実験を行ったほか、飛翔体に搭載する群制御用の制御ボードに搭載されている加速度センサやGPSの精度検証実験を行い、加速度センサが電気的なノイズの影響を受けやすく、微小な加速度ではS/N比が十分ではないこと、およびGPSセンサが衛星情報を取得するまでに予想以上に時間がかかること等を明らかにした。また、飛翔体群制御用に使用する固定翼型機体を選定し購入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
群制御アルゴリズムの開発において、形状制御や誘導制御に関して一定の成果や知見が得られたこと、また、群制御ハードウェアの開発において、地上ロボットと飛行船の連携行動に成功し、制御ボードの精度検証を行ったこと、さらに、魚群運動の3次元解析システムを構築し、実験を開始したことなどから研究は順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進の重点項目は以下の4点である。(1)群の形状制御の安定化や誘導成功率の向上の研究をさらに進め、外乱などが存在する実環境下においても使用可能な群制御アルゴリズムを実現する。(2)飛翔体に制御ボードを搭載して自律制御を実現し、GPSや超音波センサ、通信装置などを統合した群制御用ハードウェアを構築して複数機体で編隊飛行が可能なシステムを実現する。(3)飛翔体と連携する地上ロボット群の台数を増やして、より効率的に情報収集が可能なシステムを実現する。(4)魚群運動解析システムを用いて探索行動やエネルギー節約に有効な群運動を分析する。また、制御ボードの精度検証において問題となったノイズの影響やGPSの衛星情報の取得については、他の制御ボードやGPSセンサと比較実験を行ってより優れた方を選択することで対応する。
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