研究課題/領域番号 |
23390107
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
筒井 ひろ子 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40236914)
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研究分担者 |
中西 憲司 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60172350)
内山 良介 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (20456891)
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キーワード | IL-33 / ヘリコバクターピロリ / 慢性胃炎 / 好酸球 / IL-33受容体(ST2) / 自然リンパ球 / IL-13 |
研究概要 |
ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)はヒトの胃に慢性感染して、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍や胃がんを引き起こす。当該研究計画では、ピロリ菌による慢性胃炎に、どのような宿主因子がどのようなメカニズムで関わるかを解明することを目的とする。マウスにピロリ菌を接種すると、好酸球と好中球を主とする慢性胃炎が誘導される。好酸球はアレルギー性鼻炎などを代表とするアレルギー応答で活性化される。しかし、ピロリ菌感染がどのような仕組みで、好酸球性胃炎を起こすか全く分かっていない。インターロイキン33はアレルギー応答に深く関わる宿主因子で、胃粘膜の細胞も発現している。そこで、インターロイキン33の役割に着目した計画を立案した。本年度は、インターロイキン33にどのような細胞が応答して、慢性胃炎に関与するのかに重点を置いて検索し、以下の項目を明らかにした。 (1)インターロイキン33が本慢性胃炎に深く関わる。 (2)ピロリ菌刺激を受けると、予想通り、感染マウスのCD4陽性脾臓細胞はインターフェロンγを産生する。このような特性を持つことから、本細胞はピロリ菌特異的Th1細胞と言える。ピロリ菌特異的Th1細胞は、しかし、インターロイキン33と共刺激を受けると、インターロイキン13やインターロイキン5などの好酸球の活性化や遊走に関わるサイトカインを産生するようになる。 (3)インターロイキン33が不在あるいはインターロイキン33に応答できない環境下では、ピロリ菌特異的なTh1細胞が分化し難い。 (4)しかし、ピロリ菌特異的なTh1細胞をだけでは好酸球性慢性胃炎を説明できない。 (5)II型自然リンパ球を含む他の細胞種が関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度実施予定の研究計画の90%以上を実施し、既に結果を得ている。加えて、計画を前倒しして、II型自然リンパ球についてもin vitroでの実験を既に実施し、成果を得ているため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、「CD4陽性T細胞がIL-33に応答して好酸球性胃炎に強く関わる」という作業仮説を否定した。来年度以降はどのような細胞種が好酸球性胃炎に関わるかを個体レベルで解明する。特に、II型自然リンパ球に主眼を置いて、検討する。
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