研究課題/領域番号 |
23390232
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 良輔 京都大学, 医学研究科, 教授 (90216771)
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キーワード | 脳神経疾患 / 神経科学 / 発現制御 / 遺伝子 / ゲノム |
研究概要 |
α-Synの産生を低下させる低分子化合物をスクリーニングする方法として、ルシフェラーゼアッセイ系を利用した。まずα-Syn遺伝子と遺伝子発現調節領域を十分に含む約190kbのα-Syn BACクローンを用いて、大腸菌内相同組み換えによりα-Syn遺伝子exon2内のORF(open reading frame)に細胞外分泌性ルシフェラーゼ遺伝子を挿入し、さらにSH-SY5Y細胞にエレクトロポレーションにてトランスフェクションすることにより、ルシフェラーゼ分泌安定株を複数株取得した。このような巨大配列による、神経系へのトランスフェクションとその安定株取得の試みは報告がほとんどないが、遺伝子発現調整領域を網羅するという点において、転写を調整する低分子化合物スクリーニングでは重要と考えられる。200kbの挿入配列であり、断片化の有無を、realtime PCR、パルスフィールド電気泳動にて確認を行っている。 同時にin vivoでの候補分子の検討のために、PDマウスモデルを作製している。α-Syn遺伝子導入マウス(α-Syn BACトランスジェニックマウス)にIRP-2(iron regulatory protein 2)トランスジェニックマウスを交配し、ヒトPDの病態・病理を忠実に再現するマウスの作製を進行させている。現在、約6か月齢のα-Syn+/+・IRP-2+/-マウス含めて各群10匹程度のlittermateの経過を観察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスモデルの作製は概ね順調に進行している。低分子化合物スクリーニングのためのルシフェラーゼアッセイ系の確立に関しては、BACに挿入された巨大配列による、神経系へのトランスフェクションとその安定株取得の試みは、報告がほとんどなく、我々もトランスフェクション効率が悪いことから、難航した。
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今後の研究の推進方策 |
マウスモデルの作製に関しては、このまま継続し、12か月齢程度での行動解析・生化学的/病理学的解析を予定している。低分子化合物スクリーニングのためのルシフェラーゼアッセイに関しては、ほぼ確立しつつあり、今後実際の化合物スクリーニングに移行する。使用する化合物ライブラリーに関しては、約1000個からなるFDA既存薬ライブラリーを先行させ、次に使用経験のある約9600個からなる低分子化合物ライブラリーを用いる順序とする。
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