研究課題/領域番号 |
23390355
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
宮武 伸一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (90209916)
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研究分担者 |
道上 宏之 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20572499)
中村 英夫 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (30359963)
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407)
切畑 光統 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 教授 (60128767)
黒岩 敏彦 大阪医科大学, 医学部, 教授 (30178115)
川端 信司 大阪医科大学, 医学部, 講師 (20340549)
梶本 宜永 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (30224413)
増永 慎一郎 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (80238914)
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キーワード | ほう素中性子捕捉療法 / グリオーマ幹細胞 / 高LET放射線治療 |
研究概要 |
神経膠芽腫が難治である原因はその浸潤的発育と、その腫瘍細胞内にわずかに存在するグリオーマ幹細胞が、放射線治療および化学療法に抵抗性を示すことによる。一方、腫瘍選択的粒子線治療である硼素中性子捕捉療法(BNCT)における殺細胞効果の担い手であるα,Li粒子は高LET,高RBEの粒子線であり、放射線(X線)治療抵抗性を示す腫瘍にも強い抗腫瘍効果を示すことが期待される。一方グリオーマ幹細胞における薬剤抵抗性の機序の一つに、薬剤排出能の亢進が考えられる。本研究ではグリオーマ幹細胞での薬剤排出能の制御による硼素化合物の細胞内集積および分子生物学的手法による新規硼素化合物作成とBNCTによる組み合わせにより、グリオーマ幹細胞の治療抵抗性の克復を試みることを研究の目的とする。 既に入手していたGSC株がヒトGSCではなくラット由来細胞であることが平成23年9月に判明。以後、培養株化GBM細胞よりGSC様細胞の誘導樹立を行い、6ヶ月の遅延が生じた。 何とか培養株化GBM細胞よりGSC様細胞の誘導樹立に成功し、その幹細胞としての性格を同定できたのが、平成24年9月であった。 当初の目的通り、ほう素化合物のアミノ酸修飾による、GSCへのほう素化合物の集積増強は確認できたが、常時一定量のほう素(B10)を安定してGSC, GBMの細胞内に導入することは、困難であり、X線とBNCTでの主たる細胞破壊効果の担い手であるα、Li-線を同一の物理線量で比較することは困難であることが判明した。よって方針を変えて以下の研究により高LETの陽子線を利用した実験系に変更した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目的で入手したグリオーマ幹細胞がラットグリオーマ細胞のコンタミネーションであることが判明したこと。 および常時一定量のほう素(B10)を安定してGSC, GBMの細胞内に導入することは、困難であり、X線とBNCTでの主たる細胞破壊効果 の担い手であるα、Li-線を同一の物理線量で比較することは困難であることが判明したこと。
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今後の研究の推進方策 |
方針を変えて以下の研究により高LETの陽子線を利用した実験系に変更した。すなわちGBM 細胞株A172より、GSC誘導用の無血清培地でGSCを誘導した。この二つの細胞株でのSOX-2、CD133等のマーカーの変化は確認しており、この誘導法でのGSCのstemnessは確認できた。この2種類の細胞株にほう素化合物非存在下で等物理線量のX線と中性子線を照射し、colony forming assay, での細胞のダメージを評価する。 この系での主たる細胞障害の担い手は窒素中性子捕捉反応により生じる、高LET粒子線である陽子線であり、同一物理線量ではX線より細胞障害活性が高かった。gamma H2A assayを行い、DNA double strand brake の効率も高いことを残りの研究期間で明らかにし、上記データをまとめたい。 また、余力があればGSCの脳内移植モデルでのBNCTの治療実験を行う。
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