研究課題/領域番号 |
23390356
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村木 重之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40401070)
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研究分担者 |
吉村 典子 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60240355)
阿久根 徹 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60282662)
岡 敬之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60401064)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 医療・福祉 / 老化 / 疫学 / ゲノム / 国際比較 |
研究概要 |
昨年度、我々が独自に開発したOA指標を定量化する自動定量システムを用いることにより、本邦における地域代表性を有したROAD Study対象者3,040例の膝、腰椎、股関節レントゲン写真の計測を行い、本邦のOA指標の確立を完了した。本年度は、英国コホートであるChingford study対象者1518膝のレントゲン写真の自動計測を行った。その結果、膝内側最小裂隙間幅(medial mJSW)は3.6±0.8 mm、膝外側最小裂隙間幅(lateral mJSW)は4.4±1.0 mm、骨棘面積(OPA)0.7±3.9 mm2、大腿骨脛骨角(FTA)176.7±2.3°であった。一方、本邦のThe ROAD Studyの女性では、medial mJSWは2.7±0.9 mm、lateral mJSWは4.0±1.0 mm、骨棘面積(OPA)3.4±8.8 mm2、大腿骨脛骨角(FTA)176.6±3.9°であり、日英間にて比較したところ、日本女性のほうが内側、外側とも有意に関節裂隙幅が狭かった。また、内側と外側のmJSWの比(medial/lateral mJSW)をみたところ、英国女性 0.85 ± 0.26、日本女性 0.70 ± 0.27, であり、有意に日本女性のほうがmedial/lateral mJSW値が小さく、内側型OAが多いことが示唆された。一方、OPAは日本女性のほうが有意に大きかった。また、OPA>0を骨棘ありと定義した場合の骨棘の有病率は、英国5/5%、日本27.4%であり、日本女性のほうが著しく有病率が高く、骨棘形成が日本におけるOAの特徴であることが示唆された。現在、米国コホート対象者のレントゲン写真計測を行っているが、研究二年目にすでに国際比較を実現できたことは非常に意義が大きいと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに日英におけるOA指標を確立できたとともに、日英間におけるOA指標の違いも比較検討が済んでいる。また、現在米国におけるレントゲン写真読影を進めており、研究計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
すでに日英におけるOA指標の確立は済んでおり、今後米国におけるレントゲン写真計測を完了させることにより、米国のOA指標の確立を行うとともに、3か国間におけるOA指標の違いを明らかにする。さらに、各国コホートにおける膨大なデータを統合することにより、各国におけるOA指標悪化の危険因子を解明するとともに、これらを比較することにより日本人の特徴的な危険因子を明らかにする。
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