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2012 年度 実績報告書

トロンビン依存性HMGB1の遊離機構と受容体群クラスターによる細胞選別

研究課題

研究課題/領域番号 23390412
研究機関鹿児島大学

研究代表者

丸山 征郎  鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (20082282)

研究分担者 川原 幸一  大阪工業大学, 工学部, 教授 (10381170)
伊藤 隆史  鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任講師 (20381171)
大山 陽子  鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 特任助教 (20583470)
橋口 照人  鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (70250917)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワードシグナル伝達 / 蛋白質 / 糖尿病 / 発現制御
研究概要

1.トロンビン依存性 HMGB1遊離の仕組みの解析:すでに我々はトロンビンがその受容体PAR-1 を介してCBP/p300を活性化し、核内諸蛋白のアセチル化を引き起こすことを明らかにしていた。今回、トロンビン→Protease Activated Receptor-1 活性化のルートで、HMGB1が生細胞から分泌されることも検証した。トロンビンの活性はトロンボモジュリン(TM)で制御されることから、トロンビン-PAR-1を介するHMGB1遊離は、TMによって制御されているものと考えられた。ついで放出されたHMGB1が共存コンパニオン(DAMPs, PAMPs,IL-1,LPS,トロンビンなど)によってどのように増幅、変容されるかを内皮細胞、RAW細胞などで解析した。
2.次に細胞外に放出されたHMGB1 の活性について調べた。HMGB1はエンドトキシン(LPS)存在下で、その催炎症活性(TNFの放出活性など)は著しく増強された。これはDAMPs:HMGB-1 pathwayによるインフラマソーム活性化と、PAMPs:LPS経路によるNF-KB活性化のco-activationのためであろうと考えられた。
3.結論と臨床的意義
壊死細胞由来、あるいは活性化細胞由来のは細胞外では“その環境”を読んで、活性とそのベクトルを変え、より多彩な生理活性を発揮するものと考えられる。例えば“止血”、“炎症”、“修復”などである。これはin vivoの実験系で、トロンビン+HMGB1 の投与での激しい血栓、HMGB1+SDF1で細胞増殖、HMGB1+LPSで炎症、などへとベクトルを変え、かつそれぞれの反応が増強されることからも類推できることである。
これが生体防御と修復に大きな意味を持つものと考えられるが、逆に遠隔臓器不全(肺など)や、急性転化、合併症発症に関っているものと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.トロンビン→Protease Activated Receptor-1 からのシグナルで、生血管内皮細胞から細胞外に放出されている HMGB1 がアセチル化されているか否か、播種性血管内凝固症候群(DIC) で血中に増加している HMGB1 がアセチル化された HMGB1であるのか、否かについては証明しえていない。これは、アセチル化 HMGB1 を特異的に認識する単クローン性の抗体がとれてないこと、あるいは アセチル化HMGB1をHPLC にて識別しえてないからである。
2.「インタクトなHMGB1 とアセチル化HMGB1 の生理活性の違い」に関しても達成しえていない。
この原因として純度の高いアセチル化 HMGB1 を用意できなかったことである。

今後の研究の推進方策

まず上記、1)、2)に関して努力する。
次に、実験結果を総括統合し、【HMGB1は周囲の状況をセンスして、その活性のベクトルを変え、その場に最適の活性を発揮する】という当初掲げた作業仮説の妥当性と修正すべき点を評価、吟味して結論を出す。そしてHMGB1に3つの受容体RAGE, TLR2,-4が用意されていること、また侵襲局所で生成されたDAMPs、あるいは侵入してきたPAMPs, alarminsでHMGB1の活性が修飾されることの意味論を提案する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件)

  • [雑誌論文] Coagulation activity and white thrombus formation in the microminipig2013

    • 著者名/発表者名
      Miura N
    • 雑誌名

      In Vivo.

      巻: 27(3) ページ: 357-61

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Analysing responses to aspirin and clopidogrel by measuring platelet thrombus formation under arterial flow conditions.2013

    • 著者名/発表者名
      Hosokawa K
    • 雑誌名

      Thromb Haemost.

      巻: 109 ページ: 102-11

    • DOI

      10.1160/TH12-06-0441

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Neutrophil elastase inhibitor improves survival rate after ischemia reperfusion injury caused by supravisceral aortic clamping in rats.2013

    • 著者名/発表者名
      Fujimura N
    • 雑誌名

      J Surg Res.

      巻: 180 ページ: e31-6

    • DOI

      10.1016/j.jss.2012

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Immunohistochemical expression of thrombomodulin in vestibular schwanoma2013

    • 著者名/発表者名
      Yamahata, H.
    • 雑誌名

      Brain Tumor Pathol

      巻: 30 ページ: 28-33

    • DOI

      10.1007/s10014-012-0095-z1.

  • [雑誌論文] Paucity of CD34-positive cells and increased expression of high-mobility group box 1 in coronary thrombus with type 2 diabetes mellitus.2012

    • 著者名/発表者名
      Yamashita, A.
    • 雑誌名

      Atherosclerosis.

      巻: 224 ページ: 511-514

    • DOI

      10.1160/TH12-06-04411.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Increased plasma levels of high mobility group box 1 in patients with acute liver failure.2012

    • 著者名/発表者名
      Oshima G
    • 雑誌名

      Eur Surg Res

      巻: 48 ページ: 154-62.

    • DOI

      10.1159/00033863

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Role of high mobility group box chromosomal protein 1 in ischemia-reperfusion injury in the rat small intestine.2012

    • 著者名/発表者名
      Kojima, M.
    • 雑誌名

      J Surg Res.

      巻: 178(1) ページ: 466-71

    • DOI

      10.1016/j.jss.2012.01.044

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Circulating high-mobility group box a and cardiovascular mortality in unstable angina and non-ST-segment elevation myocardial infarction2012

    • 著者名/発表者名
      Hashimoto,T
    • 雑誌名

      Atherosclerosis

      巻: 221 ページ: 490-495

    • DOI

      10.1016j.atherosclerosis 2012.01.040

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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