研究課題
トロンビンは血管損傷というもっともありふれた侵襲によって誘発された血液凝固カスケードの活性化に伴って、侵襲のその場で産生され、さらにカスケードのトロンビンは凝固カスケードの上流にポジティブフィードバックを掛けて、一挙にフィブリン形成、血小板の活性化を通じて、血栓を形成し“止血”反応を誘導する。この場合の血栓は止血のみならず、損傷血管のバリアー再構築、創傷治癒にもあたり、外に面した侵襲部位では、病原微生物、PAMPs の侵入の阻止にも預かる。一方トロンビンは諸細胞に発現しているPAR-1 を活性化して、多様な細胞応答を惹起する。申請者らの25年度の研究の成果は以下の通りである。1.PAMPs, DAMPs の受容体:TLR-2, TLR-4 はNF-kB 活性化によってアップレギュレーションされる。トロンビンもNF-kB を活性化して、TLR-2, -4の発現を増強するが、これは血管損傷部位でのPAMPs に対する応答の増強に繋がる。2.トロンビンもPAR-1活性化を介して、血管内皮細胞からのHMGB1の細胞外遊離を促進する。これらのことから、血管侵襲を伴う侵襲においては、局所で生成されたトロンビンは[PAR-1]-[NF-kBを介したHMGB-1 遊離]-[TLR-2, TLR-4 アップレギュレーション] とリンクして、侵襲に対する大きな生体防御防ループを形成しているものと考えられた。Ectopic なトロンビンは、血管内血栓で単、あるいは多臓器の虚血性、あるいは炎症性の臓の不全、さらには多臓器不全の直接的原因となるが、局所の血栓は生体防御促進的、すなわちDAMPs, PAMPs の全身への拡散防止にも働いている可能性が考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
PLoS One
巻: 9(1) ページ: e86491
10.1371/journal.pone.0086491
巻: 8(9) ページ: e75961
10.1371/journal.pone.0075961
Thromb Res
巻: 133(1) ページ: 66-72
10.1016/j.thromres.2013.10.037
Eur Surg Res
巻: 51(3-4) ページ: 181-90
10.1159/000357563