研究課題/領域番号 |
23390514
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
佐藤 由美 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (80235415)
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研究分担者 |
結城 恵 群馬大学, 大学教育・学生支援機構, 教授 (50282405)
山田 淳子 群馬大学, 保健学研究科, 助教 (60431714)
桐生 育恵 群馬大学, 保健学研究科, 助教 (00448888)
齋藤 智子 新潟大学, 医学部, 准教授 (00300096)
中下 富子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (50398525)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 外国籍住民 / 文化 / 子ども / 健康増進 / CBPR |
研究概要 |
本研究は、群馬県のブラジル人集住地域において、子どもの健康問題の解決や健康増進を目指した外国籍住民、日本人住民、関係者協働による参加行動型研究(Community-based Participatory Research,以下、CBPRとする)を実施するものである。とりわけ、外国籍住民の文化を考慮したCBPRを展開し、そのアウトカム評価、プロセス評価から、当該地域における子供の健康増進のためのCBPRの成果を課題、および方向性を明らかにすることを目的とする。2年目の24年度は以下のとおり実施した。 ①ブラジル人の子どもの生活と健康に関するフィールド調査:日系ブラジル人の子どもの健康や生活習慣が母国でどのように形成されているかを理解し、在日ブラジル人の子どもの健康増進に向けた取り組みの示唆を得ることを目的に、ブラジルサンパウロ州の日系人コミュニティで情報収集と参加観察を行った。さらに、日本で就労経験があり、学齢期の子どもを持つ家族へのインタビュー(8組)を行った。その結果、医療制度や社会情勢の違いによる子どもの生活習慣に対する日本人との認識の違いが確認され、在日ブラジル人の健康支援において考慮すべき点が明らかになった。 ②共生地域事例の情報収集:外国籍市民が住民の半数以上を占めるロンドンにおいて多文化共生の実情を実地に見聞し、民族的少数者や若者を政策決定に巻き込むルイシャルム地区の取り組みについて情報収集した。 ③在日外国人学校におけるエスノグラフィー:研究協力者の協力を得て、県外の在日ブラジル人学校1校において、教員が行う健康支援を明らかにするために7か月間の参加観察と教員等へのインタビューを実施した。その結果、法的規定がない中でも食生活、身体作り、感染予防、心の健康、病気・けがへの対応等の健康支援が、母国と日本の文化を融合した方法で実施されていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、これまで群馬大学が実施してきた「在日外国人学校健康診断」を子どもの健康増進活動の具体策の一つとして位置付け、年1回の健康診断の実施を通して、学校教員や保護者等の関係者との信頼関係の構築や情報収集を図り、CBPRへの参加を促していく予定であった。しかし、外国籍住民に対する制度の変更や経済状況の変動による雇用の不安定さ等に外国人学校の運営も影響を受け、平成24年度は健康診断の実施に至らなかった。そのため、当初予定していた当該地域での健康増進活動の取り組みを進めるのではなく、他地域のブラジル人学校の健康支援の内容をエスノグラフィーにより描き出すことや、米国の多文化共生の先進地域の取り組み事例を学ぶことを通じて、次年度以降のCBPR展開の準備をすることとした。
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今後の研究の推進方策 |
外国籍住民の雇用や生活に動きがある中で、これまで構築してきた自治体や外国籍住民コミュニティのキーパーソンとの関係性を活かしつつ、対象とする地域の範囲や中心とする関係者・手段の再検討を行う予定である。
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