研究課題/領域番号 |
23390514
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
佐藤 由美 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (80235415)
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研究分担者 |
結城 恵 群馬大学, 大学教育・学生支援機構, 教授 (50282405)
井出 成美 群馬大学, 保健学研究科, 准教授 (80241975)
桐生 育恵 群馬大学, 保健学研究科, 助教 (00448888)
松井 理恵 群馬大学, 保健学研究科, 助教 (60736263)
齋藤 智子 新潟大学, 医学部, 准教授 (00300096)
中下 富子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (50398525)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 外国籍住民 / 多文化 / 子ども / 健康増進 / CBPR |
研究実績の概要 |
本研究は外国人集住地域である群馬県東部地域において、子どもの健康問題の解決や健康増進をめざした外国籍住民、日本人住民、関係者協働による参加行動型研究(Community-based Participatory Research :CBPR)を実施するものである。 今年度は、活動の中核となる在日ブラジル人学校一校において、教員との話し合いを重ね、当該学校に通う子どもの保護者に対して子どもの生活習慣と体格に関する認識について、ブラジル人学校の教員と共同で実態調査を行った。全校生149名96世帯の保護者96名を対象として、①基本属性(家族構成、国籍、日本居住年数、勤務状況、日本語レベル等)、②子どもの体格、健康状態、食習慣、運動習慣、及び③子どもの体格に関する保護者の認識等を調査項目とした質問紙調査とした。その結果、有効回答75名(78.1%)の回答が得られた。主な結果は以下の通り。①3人家族が41%と最多で、父母は93%がブラジル国籍、91%が有職、日本語の読み書きが「全くできない」のは父36%、母40%。②子どもの肥満度は<やせ>が1%、<標準>が59%、<肥満>が40%。1日の食事回数は「4回」が49%と最多で、食事で気をつけていることでは、多い順に93%が「母国(ブラジル)の食事をとりいれる」、87%が「家族と一緒に食べる」。子どもの肥満度と健康状態、食習慣、運動習慣に有意差なし。③肥満・やせの将来の健康への影響について91%が「やせも肥満も将来の健康に良いことではない」と適切に認識しているが、<肥満>の子どもの場合、子ども体格の現状と保護者の認識にずれが認められた。また、保護者からの子どもの健康に関する相談や学習機会の要望が把握され、これらの結果を教員と検討し、次年度に保護者、地域保健関係者等を交えて健康増進活動に取り組むことになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象としたブラジル人学校との話し合いに時間を要し、また、やりとりにはブラジル語と日本語との翻訳作業も必要であるため、今年度中に具体的な活動として実施できたのは保護者への質問紙調査までであった。しかし、話し合いを通じてブラジル人学校の教員との共通認識ができ、取り組みの方向性や具体策が見いだされるなど、当事者の主体的な問題解決に向けたCBPRの展開プロセスは進行している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の協働により現地のブラジル人学校の教員との関係が円滑になってきたので、当初の目標に向けて、年度の早い段階からCBPRの具体的な取り組みを進めていく予定である。
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