研究課題/領域番号 |
23403010
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大塚 雄一 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (40314025)
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研究分担者 |
小川 泰信 国立極地研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (00362210)
細川 敬祐 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (80361830)
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キーワード | GPS / GNSS / シンチレーション / 電離圏 / 北極域 / 国際研究者交流 / 電離圏擾乱 / ノルウェー |
研究概要 |
人工衛星から送信された電波が、電離圏中に生じたプラズマ密度の不均一構造を通過すると、地上で受信された信号強度が変動する。この現象は、シンチレーションと呼ばれている。我々は、このシンチレーション現象を観測するため、JAVAD社製GNSS受信機G3-Tを3台購入し、GPS衛星が送信する2周波の電波の位相と信号強度を50Hzで記録するための観測制御プログラムを作成した。3台の受信機のうちの1台を平成24年1月に、ノルウェーのEISCATトロムソ・レーダーサイトに設置し、連続観測を開始した。 また、欧州における800点以上のGPS受信機から得られたデータを用いて、全電子数(Total Electron Content; TEC)を算出し、中規模伝搬性電離圏擾(Medium-Scale Traveling Ionospheric Disturbance; MSTID)の統計的性質を調べた。その結果、欧州においては冬季の日中及び夜間にMSTIDが頻繁に観測されることが分かった。また、日中のMSTIDは、南方向に伝搬するものが多いことが明らかになった。このことは、従来から考えられてきたように、日中のMSTIDが大気重力波に起因するものであることを支持している。一方、夜間においては、南西方向に伝搬するMSTIDの発生頻度が高いことも明らかになった。この夜間のMSTIDの生成には電場が重要な役割を果たしていると考えられる結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、平成23年10月までに電離圏シンチレーションを観測するための 3 台の GPS 受信機をノルウェー・トロムソに設置する予定であった。しかし、設置場所の整備に時間がかかったため、平成24年1月に1台だけ設置することになった。1月は積雪があるため、残りの2台は雪が解けてから設置することにし、平成24年9月に設置した。設置後は、順調に観測を継続をしており、課題遂行に問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
以下の具体的な研究テーマに関して研究を推進する。 1)JAVAD受信機で得られたデータと既存のGSV受信機で得られたシンチレーション・データの比較を行う。 2)脈動オーロラの光学観測データとTEC変動(50Hz)との比較。 3)3台の受信機で得られたデータを用いて、電離圏擾乱のドリフト速度を導出する。
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