研究概要 |
X連鎖ジストニア・パーキンソニズム(DYT3)患者の術中神経活動解析の結果、不規則なburst and suppressionを呈するジストニア固有の異常発火パターンが淡蒼球内節神経細胞に証明された。また、脳深部刺激(DBS)治療研究では低頻度、高振幅刺激がジストニア症状抑制に有効であり経時的に進行性の改善パターンを示した。 フィリピン・マニラでのフィールド研究の結果、DYT3患者には高頻度に(80%以上)にうつ症状(depression)が存在することが判明した。これは、線条体コンパートメント構造の機能病理学的観点からDYT3患者にみられるストリオゾームの特異的病変に由来するものと考え報告した (Morigaki R, et al., Parkinsonism & Related Disorders 2013, in press)。 DYT3患者の剖検脳の解析では、線条体neuropeptide Y (NPY) systemの機能解剖学的異常が疾患特異性に存在することを見出した。NPYはドパミン・グルタミン酸シグナルを調節すると同時に神経細胞新生(neurogenesis)を規定していることから、この所見はDYT3患者の線条体神経細胞変性およびジストニア症状発現機序を考慮する上で重要と考え報告した (Goto S, et al., Brain 2013;136:1555-1567)。 ジストニア症状を呈する遺伝子改変モデルの解析では、ストリオゾームのドパミンおよびオピオイドシグナルの機能低下を示す所見が得られている。今後報告予定である。
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