研究課題/領域番号 |
23500649
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
須藤 正時 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70437094)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 音の可視化 / HMD / ヘッドマウントディスプレイ / ウェアラブルデザイン |
研究概要 |
本研究では日常生活で発せられる生活音を音の代わりになる表現(映像、文字)で眼鏡型表示端末ヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)に表示して、音の可視化を通し加齢等に伴い難聴者になった方や聴覚障害の方が日常生活を快適、安全、安心に過ごせることを目指す。2011年度は健常者を対象としてHMDに音を表現したシミュレーション画像を表示してタスク実験を実施。実験1では音と絵文字表示の反応速度の違いを測定。実験2では音の方向性をHMDで認知する反応速度の測定。実験3では後方画面からの音とその方向情報をHMDで認知する反応速度の計測。この実験では可視化の手段としてHMDを使用した場合の、その認知するまでの反応速度を計測し安全性を確かめるための評価実験を実施した。実験は音情報を絵文字で表現し、歩行環境を再現したタスクを遂行中に絵文字をHMDに表示させ絵文字やその方向に対する反応時間を測定した。被験者は11名で学内公募による学生(男性8名 女性3名)。実験に用いた音と絵文字は、車のクラクション、救急車のサイレン、自転車のベルの3音とした。これらの音は研究者のこれまでの先行研究と研究に先立ち自ら耳栓を用い擬似難聴状態を設定し通勤途上で必要と感じた音を選んだ。実験1から音を聞いた場合と絵文字を見た場合のその反応速度は音反応の方が早い。ただし絵文字の反応速度は安全な反応速度の指針となる知覚反応時間0.7~1.0秒の範囲内に収まった。実験2ではHMDに表示されたものとスクリーンに映し出されたものとの認知反応速度に優位な差はなかった。従い前方情報よりは後方の音情報が重要になることが分かった。実験3では前方情報と後方情報とでは前方情報の認知反応が早く後方情報は有意に反応が遅かった。また後方情報は感性評価からすると負荷がかかっていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2011年度は評価実験1、2、3では、次の段階である脳血流測定評価、より実践的な模擬フィールドに進み意味のある評価結果が得られた。ただし学内倫理審査委員会の指導に即した対応等のため評価実験機を作る予算執行許可を得るのに手間取り評価機の試作や脳血流測定装置を用いた実験が未着手であった。総合的には年度計画の3割程度が終了。今年度の評価実験の結果は論文報告できるように8月を目標に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度は2011年度に実施した健常者を対象とした実験3を実験1として脳血流測定を行いながら評価実験を行う。後方情報がHMDに表示されることの負荷量を計測する。血流測定装置は薬事認証取得されているfNIRSを使用する。これは医療現場等で使用されている安全性の高い装置(添付カタログ参照)。現在、血流を測定することによりストレス負荷量と脳血流量(ヘモグロビン)の詳細な関係はまだ分かっていないがストレス量の変化を見るために血流を測定する。実験2として現在設計を進めている屋外で使用可能な実験機を用いた模擬路上評価を行う。HMDを装着して施設内(大学敷地内路上)歩行用評価を行う。(実験1の被験者は学内学生、実験2は学内学生と聴覚障害者)。これらの実験を通しHMDの音表示の効果測定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
2011年度に予定していたHMDの歩行時評価実験する為の評価機試作費用と血流測定装置の使用料並びに被験者にたいする謝金として研究費を使用する。2011年度に行った音を判別する装置の実験室レベルの機能試作が終了。ただし無線接続によるデータ送信についてのHMDとのマッチング設計はこれから行う。
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