研究課題/領域番号 |
23500704
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
志々田 文明 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (80196378)
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キーワード | 柔術 / 柔道 / 嘉納治五郎 / 富木謙治 / 離隔態勢 / 天神真楊流 / 合気柔術 / 精力善用国民体育 |
研究概要 |
25年度は、 本研究計画の(1)「当身技に対処する観点から見た、草創期の講道館柔道と柔道の形及び天神真楊流の形との関係」に関係して、以下の研究発表が行われた。○湯浅有希子,志々田文明(2013)楊心流『胴譯図』における医学的、密教的要素,日本体育学会第64回大会予稿集,p.100.この研究は天神真楊流の源流の一つである楊心流に遡って当身技の意味を密教との関係で掘り下げたものである。また湯浅は本計画に関係して以下の論文を執筆した。湯浅有希子「柔道整復の誕生: 1911-1920年における柔道整復の法制化を巡って」体育史研究. Vol.30(2013),pp.41-57. また、本研究計画の(2)「植芝盛平の大東流合気柔術のどの点に嘉納の求める武術性があったのか」に関係して以下二点の研究発表が行われた。○工藤龍太(2013)古流柔術の「わざ」の分類についての一試論:植芝盛平の柔道対抗技を事例として.平成25年度 体育哲学専門分科会夏期合宿研究会.○工藤龍太(2013)植芝盛平の「柔道対抗技」の技術分析:海軍大将竹下勇の覚書『坤』(1930)をもとに.日本体育学会第64回大会予稿集,pp.99-100.これらの研究は名人とも評価される植芝が柔道に対する対抗策の研究をしていたこととその技術性を示している。 本研究計画においては四つの研究課題の上に以下の研究目的が設定されている。「本研究は将来の柔術(柔道)のあり方を求めて、嘉納の武術としての柔道思想の変遷と内容を検討する」。この柔術(柔道の)あり方に関係して、志々田は以下の研究論文(英語)を国際学術誌に発表した。○志々田文明・フリンショーン (2013) 武術の哲学は以下に現前するか:日本武道からの洞察、「文化のIDO運動:武術人類学」. 13巻3号:29-36.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
特に本研究課題(3)「唐手(空手)と精力善用国民体育との関係解明と、唐手と柔術及び武術としての柔道との関係」及び(4)「富木謙治の「柔道に於ける離隔体勢の技」理論(1942)の問題点とその後の発展及びその問題点」は、未だ研究発表のための準備段階にある。 前者においては、唐手関係資料並びに精力善用国民体育資料は沖縄関係資料などを含めてある程度収集することが出来たものの未だ十分とは言えない。後者においては、基本資料を集めることはできているが、「問題点とその後の発展」を論ずるに至っていない。 遅れの理由は、研究代表者(筆者)が本務校における研究・教育の多忙のため充分な時間を作れないでいることが大きい。また指導する若い研究協力者が研究に専念できる充分な環境を持っていないことも根本原因の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
計画最終年度の本年度は、本務校の特別研究期間適用者として勤務を離れて研究にほぼ専念できる環境をつくることができたため、四つの研究課題に対応する複数の論文作成計画を立てている。 ①当身技と「五の形」、②当身技と天神真楊流、③嘉納治五郎と精力善用国民体育、④嘉納治五郎と植芝盛平、⑤富木謙治理論の問題点。 また、その論文の重要な内容についての研究を、研究代表者以下研究協力者によって、日本体育学会大会など国内の学会のみならず、10月に行われるIMACSSS(国際武術格闘技科学学会)の国際会議で発表する予定である。これらによって論文として確実な成果に結実させたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.計画当初予定していた欧州でのIMACSSS(国際武術格闘技科学学会)の国際会議が、日本の筑波大学で行われることになったため。 2.台湾で予定されていたISHPES(国際体育・スポーツ史学会)への出張を、治療薬の見つからない鳥インフルエンザの発生により、危険回避の観点から参加を取りやめたため。 1.IMACSSS(国際武術格闘技科学学会)、日本体育学会大会(於岩手)へ複数の共同研究者の参加及び研究発表にかかわる経費で使用。2.執筆計画をもつ複数の研究論文において、日本語で書かれたものの英文化料金、英語で書かれたものの校正料金として使用。3.作業効率を上げるため Acrobat XI Pro を複数購入する。その他。
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