本研究では、高脂肪食摂取時に葉酸が欠乏した場合の脂質代謝の変動を検討した。その結果、肝重量の増加と白色脂肪組織重量の減少が認められた。同時にコリンが欠乏すると、さらに肝トリグリセリド量の増加が認められ、脂肪滴の蓄積が観察された。脂肪酸の合成と輸送に関わる遺伝子の肝臓での発現が、葉酸・コリン欠乏群で減少していた。また、肝臓から末梢組織へ脂質を分配する働きを持つVLDL中のトリグリセリド量も減少していた。以上より、高脂肪摂取時に葉酸が欠乏すると、肝臓からの脂質輸送が低下して、肝臓への脂肪蓄積が誘導されること、コリンの欠乏によってこの障害がさらに増悪化する可能性が示唆された。
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