平成25年度は、本研究の最終年度としてコ・メディカル学習システムを利用し、本学の学生14名をを対象とした実証実験を行った。設問内容はコ・メディカルスタッフが臨床場面で行う処置について、その判断根拠を問う設問を5問用意した。学生は、判断根拠を回答として入力するが、その際に判断に必要な知識コンテンツを参照することで回答を組み立てていく。本実証実験の結果として、全70個の回答中、23%が判断に必要な知識コンテンツを参照しているにも関わらず、判断根拠を正しく組み立てることが出来なかった。これは、個々の知識については理解できているが、複数の知識を体系的に組立て、結論を導く能力の不足によるものである。また、11%は判断に必要な知識コンテンツを参照していないにも関わらず、判断根拠が正しく述べられているケースであるが、本パターンは偶然的に正解したと判断できる。すなわち、既存の多くの知識を活用し、コ・メディカルスタッフに必要な臨床判断を行うという点で、正解数は6割強であり、さらに知識の活用力を育成する必要があることが判明した。本年度では、さらに現職のコ・メディカル・スタッフに対しても、本システムを利用した実証実験を行い、本研究成果の実用性評価を予定していたが、現職のコ・メディカル・スタッフの実証実験に必要な時間を確保することが困難であり、本実験の実施には至らなかった。しかしながら、本研究では、体系化された知識間の関連性を理解し、僅かな症状の変異から、その現象を分析・論述できる能力を定量的に測る手法として確立することができた。今後は、さらに本システムのコンテンツを拡充し、学生の継続的利用による分析・論述できる能力を育成する。また、現職のコ・メディカル・スタッフにも利用してもらい、本研究成果を社会に普及させていく。
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